大腸ポリープは,大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変の総称であるが,臨床的に問題となるのは,がん化ポテンシャルを有する腺腫やsessile serrated lesion(SSL)であり,特にがん化病変は正確に診断し適切な治療を行うことが重要である。
大腸内視鏡検査時にポリープを発見した場合は,まずnarrow band imaging(NBI)拡大観察を行い,JNET分類1)に基づいて質的診断を行う。JNET分類Type 1は過形成性ポリープあるいはSSLであり,前者であれば経過観察でよいが,SSLは内視鏡切除を考慮する。Type 2Aは腺腫(~低異型度癌)であり,内視鏡切除の適応である。Type 3は粘膜下層高度浸潤以深癌であり,外科切除の適応である。Type 2Bは腺腫から粘膜下層高度浸潤癌までの幅広い病変を含むため,色素拡大観察や超音波内視鏡検査,注腸造影検査等による追加精査が必要である。
「大腸ポリープ診療ガイドライン2020」2)に基づき,腺腫の場合は径6mm以上の病変,あるいは径5mm未満でも平坦陥凹型病変は内視鏡切除適応とする。また,SSLに関しては基本的に径10mm以上を内視鏡切除適応とする。
内視鏡切除法は,高周波発生装置を用いて通電切除する方法と,通電を伴わない方法に大別される。前者の代表的なものはendoscopic mucosal resection(EMR)であり,生理食塩水などの局注を行って粘膜を膨隆させた後に,スネアで絞扼し切除する。最近では,局注を行わずに腸管内に水をためることで粘膜を浮遊させ,スネアで絞扼し切除するunderwater EMR(UEMR)も行われ,より簡便かつ容易に一括切除が可能である。
通電を伴わない方法としては,鉗子でつまんで切除するcold forceps polypectomy(CFP)と,スネアで絞扼して切除するcold snare polypectomy(CSP)がある。通電を伴う切除と比較して穿孔や出血のリスクが少ないことが報告されているが,切除深度が浅いことが問題であるため,適応は腺腫と診断した病変に限る。スネアで一括切除できる病変は径20mm程度までであり,それ以上の早期がんに対しては,専用ナイフを用いて周囲粘膜切開と粘膜下層剝離を行うendoscopic submucosal dissection(ESD)が保険適用となっている。
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