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随時尿を用いた塩分排泄量の活用方法について

No.5175 (2023年07月01日発行) P.42

藤原和哉 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 健康寿命延伸・生活習慣病予防治療医学講座 特任准教授)

加藤公則 (新潟大学大学院生活習慣病予防・健診医学講座 特任教授/新潟県労働衛生医学協会)

登録日: 2023-06-30

最終更新日: 2023-06-28

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  • 随時尿を用いた塩分排泄量の活用方法,特に高齢者で注意することについてご教示下さい。
    新潟大学・加藤公則先生にご解説をお願いします。

    【質問者】藤原和哉 新潟大学大学院医歯学総合研究科 健康寿命延伸・生活習慣病予防治療医学講座 特任准教授


    【回答】

     【塩分摂取量を患者に尋ねるよりも,随時尿を用いた塩分排泄量を測るほうが生活指導には役立つ】

    随時尿を用いた塩分排泄量(e-NaCl)は,よく,正確ではないと言われます。24時間蓄尿法を用いた塩分排泄量に比べて,随時尿の1点だけをみた計測法はバラツキが多くなることが予想されます。しかし,24時間蓄尿法を用いた塩分排泄量測定の場合でも,汗となって塩分が体外排泄されるため,摂取した塩分量に比べると,春は85.4%,夏は82.6%,秋は87.8%,冬は89.5%しか尿中に排泄されないこともわかっています1)

    では,e-NaClにまったく意味がないかと言えば,筆者らの検討では人間ドックにおいて自記式食物摂取頻度調査法(i-NaCl)に比べて,e-NaClのほうが人間ドックの際の血圧とよく関連していました2)。さらに,人間ドック受診者の月ごとの平均収縮期血圧,平均e-NaCl,新潟県の平均気温はすべてがお互いによく相関していましたが,i-NaClにはまったく関連していませんでした。そして,年齢によるサブクラス解析を行うと,この発汗による血圧調節は高齢者のほうが顕著でした3)。つまり,塩分摂取量を患者に「聞く」よりも「測る」ことが大切と考えています。

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