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肥満に対する防風通聖散のエビデンスと効果・副作用について

No.5194 (2023年11月11日発行) P.48

有田龍太郎 (東北大学病院総合地域医療教育支援部・ 漢方内科)

畝田一司 (福島県立医科大学会津医療センター 漢方医学講座講師)

登録日: 2023-11-13

最終更新日: 2023-11-07

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  • 肥満に対する漢方薬として防風通聖散が用いられることがありますが,その効果や安全性のエビデンスは蓄積されているのでしょうか。また,防風通聖散が効果を示しやすい体質や,逆に副作用の注意すべきポイントはあるのでしょうか。
    福島県立医科大学・畝田一司先生にご解説をお願いします。

    【質問者】有田龍太郎 東北大学病院総合地域医療教育支援部・ 漢方内科


    【回答】

     【肥満合併患者のBMI減少効果が示されているが,生活習慣の是正も不可欠】

    防風通聖散は,金元時代の中国の名医である劉完素により創方された処方です。わが国では大正から昭和時代にかけて,森 道伯とその門人の活躍が契機となり普及しました。現在は複数のメーカーから医療用漢方製剤として販売されており,効能・効果として肥満もしくは肥満症を含みます。防風通聖散は皮膚,呼吸器,消化器など様々な疾患に応用できる漢方薬ですが,使用対象は漢方医学的な実証,すなわち体力や胃腸機能が充実した患者が基本となります。腹部所見は臍を中心に隆起する,いわゆる太鼓腹が典型です。この腹部所見はまさしく内臓脂肪型肥満であり,古人がメタボリックシンドロームと類似した着想を持っていた点には驚かされます。

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