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無月経・希発月経・頻発月経[私の治療]

No.5211 (2024年03月09日発行) P.46

村上 節 (滋賀医科大学産科学婦人科学講座教授)

辻 俊一郎 (滋賀医科大学産科学婦人科学講座准教授)

花田哲郎 (滋賀医科大学産科学婦人科学講座)

登録日: 2024-03-12

最終更新日: 2024-03-05

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  • 無月経には原発性無月経と続発性無月経がある。満18歳を超えても初経が起こらない場合を原発性無月経と言う1)。わが国においては初経をみるのは平均12歳であり,15歳以上で初経がみられず(初経遅延),乳房発育などの二次性徴の発現もみられない場合には,原因精査,治療介入も考慮する。
    正常な月経周期日数は,25〜38日の間で変動は±6日以内とされる1)。したがって,24日以下の周期は頻発月経,39日以上の周期であれば希発月経と診断される。なお,月経が3カ月以上停止した場合を続発性無月経と呼ぶ。
    月経は,本質的には,排卵後に形成された黄体の退縮に伴う卵胞ホルモン(E2),黄体ホルモン(P)の低下による消退出血である。月経の定義が「約1カ月の間隔で自発的に起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」とされている1)のは,思春期,更年期にしばしばみられる無排卵周期,すなわち長期的なE2の曝露による破綻出血を,不正性器出血ではなく,正常月経の範疇に包含するためである。

    ▶診断のポイント

    無月経の場合には,妊娠の有無を必ず確認する2)

    排卵は視床下部−下垂体−卵巣軸がつかさどっており,卵巣から分泌されるE2,Pに子宮内膜が反応して子宮出血が生じる。したがって,無月経の場合に,卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体化ホルモン(LH),E2の値は重要である。このほかにも,プロラクチン,甲状腺刺激ホルモン,男性ホルモン,Pなどを必要に応じて検査する。

    なお,原発性無月経では,染色体検査や子宮の有無,月経血流出路の異常の有無も検討する必要がある。

    希発月経・頻発月経の場合には,排卵を伴うかどうかを確認することが重要である。E2の長期的な曝露では子宮内膜増殖症などのリスクを高めることから,子宮内膜の組織学的評価を必要とする場合もある。また,頻発月経の場合には,貧血にも注意する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    過度の肥満ややせの場合は適正体重に導く生活指導を実施する。

    挙児希望がある場合には,排卵を誘発することが必要となる。排卵周期を有する希発月経の場合も,妊娠が成立する機会を増やすために排卵誘発を考慮する。

    挙児希望がない場合には,消退出血を惹起して月経周期を整えるか否かが主眼となる。生殖年齢の希発月経・頻発月経で無排卵周期症の場合には,治療介入を考える。また,月経困難症や過多月経などの症状があれば,その適応を持つホルモン製剤を用いることができるので選択肢が広がる。

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