【質問者】
加藤 順 千葉大学医学部附属病院内視鏡センターセンター長
【UEMRは浸水下で大腸ポリープのスネア切除を容易にする】
UEMRは米国のKenneth Binmoeller医師が開発した方法です。彼は超音波内視鏡時に,粘膜と粘膜下層は管腔の内腔に突出しているにもかかわらず,筋層は円形の形状のまま内腔には突出していないことに気づきました。そこで,その状態でスネアを用いて粘膜を切除すると,粘膜・粘膜下層のみが切除され,筋層は絞扼されずに穿孔しないのではないかと考えました。
UEMRでは大腸の内腔をスコープからの送水で満たし,粘膜下局注なしに病変部の粘膜をスネアで絞扼して通電切除します。UEMRのメリットは浸水下では粘膜が収縮して軟らかくなり,かつ浮力が生じるため,大きな病変が小さく,広基・表面型の病変が隆起型になりスネアで絞扼しやすくなることです(図1)。筆者らは11〜20mmの広基性大腸腫瘍を対象にした無作為化比較試験で,UEMRのほうが送気下の通常(局注)EMRに比べて一括切除率(69% vs. 50%,P=0.011),断端陰性切除率(89% vs. 75%,P=0.007)ともに有意に高いことを示しました。
大きな腫瘍の分割切除において,小さな遺残部分の切除時に通常EMRでは局注のため粘膜の張力が高く,スネアが滑って切除しにくいことがあります。しかし,UEMRでは局注しないため粘膜が軟らかく,スネアでの絞扼・切除が容易です。また切除後の潰瘍のクリップ縫縮も,切除後潰瘍が小さく,辺縁粘膜が軟らかいためクリップがかかりやすいというメリットもあります。
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