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日本専門医機構の新執行部と協議して判断を - 日本医師会と日本医学会が18基本領域学会に要請 [新専門医制度]

No.4808 (2016年06月18日発行) P.12

登録日: 2016-06-18

最終更新日: 2016-12-07

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【概要】新専門医制度を巡り関係者の発言が相次いでいる。日本専門医機構が来年度の全面実施を見送り、試行的運用の方針を固める一方、日本医師会と日本医学会は18基本領域学会に対し、今月の機構の理事改選後に新執行部と協議の上、来年度の対応を決めるよう求める文書を送付した。

機構は9日、「専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員会」と「基本領域研修委員会」の合同委員会(四宮謙一委員長)を開催。議論の結果、機構主導の形で全領域がプログラム制の研修に移行することは難しいと判断した。
各学会は今後、(1)来年度の研修を従来通りの方式で実施するか、プログラム制に移行するか、(2)プログラム制の場合、機構のプラットフォーム(専攻医登録システムなど)を利用するか、学会独自のものを採用するか─などを決定する。
各地域における専攻医の募集定員の調整も各学会に委ねられる。機構は「試行的運用の間は我々に調整の権限はない。定員については学会と1年以上調整を重ねてきた。(学会に委ねても)ひどいことにはならない」(四宮氏)としている。

●内科、小児科、リハビリは「プログラム制で試行的運用可能」
合同委員会では機構が基本領域学会に来年度の専門医養成の意向を確認。
日本内科学会は「プログラム制の研修を試行的運用の形でぜひやりたい。機構を無視して進めることはない」と回答。日本小児科学会、日本リハビリテーション医学会も「来年4月からプログラム制で実施できる」とした。そのほか、日本整形外科学会は「延期されてもプログラム制を導入する」、日本産科婦人科学会は「再度、理事会の承認が必要だが(プログラム制で)実施可能」、日本麻酔科学会は「既にプログラム制なので多少修正すれば対応できる」とした。
一方、日本皮膚科学会は「1年間は従来方式で運用させてほしい」と回答。日本外科学会など、9日現在で理事会が方針を決めていない学会も多かった。

●機構の対応に塩崎厚労相「立ち止まって精査を」
新専門医制度については、日本医師会と四病院団体協議会が7日に地域医療への影響や機構の組織運営への懸念を表明している。
機構の池田康夫理事長は合同委員会の議論を経て、「各学会がプログラム制を堅持しながら地域医療にも配慮するという点では合意が得られた」との認識を示し、プログラム制による専門医養成の実現が非常に重要とするコメントを各学会に送付した。これに対し塩崎恭久厚労相は14日の閣議後会見で「一度立ち止まって精査した上での判断を求めたい」との見解を表明。15日には日医と日本医学会が18基本領域の学会理事長宛に文書を送付し、来年度の対応の判断を一時的に保留するよう要請。現在、機構では6月の任期満了に伴う理事改選の議論が進んでいるため、「新たに選出された執行体制と各学会において十分協議のうえ、問題がないとされた学会は新たな専門医の仕組みを2017年度から開始する」ことを求めており、事態は混迷の様相を見せている。

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