来年3月に改訂が予定されている「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の内容を検討している文部科学省の調査研究チームの北村聖リーダー(東大医学教育国際研究センター教授、写真)が6日、同省専門研究委員会で改訂の方向性を報告した。北村氏は今回の改訂のコンセプトについて、「医学だけにとどまらない多様なニーズに対応できる医師の養成」と説明した。
コア・カリキュラムは、医学生が卒業までに最低限履修すべき内容のうち、学修時間数の3分の2程度に当たるもの。改訂は6年ぶりとなる。
北村氏は、医学教育を通じて修得を求める「医師の基本的な資質と能力」について、表の9項目を「必要最小限」として提示。「各大学で独自の項目を追加しても構わないが、一部を削除することは避けてほしい」と求めた。
改訂の具体的な内容に関しては、「特に『人の死』について充実を求める声が多い」と述べ、「死に至る人の心の過程」「終末期患者とのコミュニケーション」「患者の死後の家族のケア(グリーフケア)」などについて、理解・説明できる能力を求める方向性を示した。
また、高齢化の進展を踏まえ、「基本的診療知識」として求める事項に、多剤投与、禁忌、アンチ・ドーピングなど薬物治療に対する理解を追加。産業医学・スポーツ医学に関する内容を充実するほか、臨床実習では、多職種連携による褥瘡の処置・治療についても重点化を図るべきとした。