【Q】
月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)の患者は多彩な症状を訴えるため,治療に苦慮することが少なくありません。特に怒りやすいなどの情緒不安定と腹痛などの身体的症状を抱える患者を,どのように治療していけばよいか,いつも悩んでいます。低用量経口避妊薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI),漢方薬などを試行錯誤しながら使うことが多いのですが,系統的な治療法はないでしょうか。また,複数の薬剤の併用法などについても併せて,獨協医科大学・望月善子先生のご教示をお願いします。【A】
PMSとは,月経前3~10日の黄体期の間に続く精神あるいは身体症状で,月経発来とともに減退ないし消失するものを言います。イライラ,のぼせ,下腹部膨満感,下腹痛,腰痛,頭重感,怒りっぽくなる,頭痛,乳房痛,落ち着かない,憂うつの順に多いとされ,月経困難症に比べ,精神症状と乳房症状が多いようです。また,浮腫あるいは体重増加を主徴とする場合もあり,症状は多彩です。PMSのうち特に精神症状が重く,日常生活や社会生活に支障をきたすものを月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder:PM