【Q】
70歳,女性。主訴は倦怠感。採血にて,低カリウム血症(3.0mEq/L)と判明。そのほかは異常なし。なお,数週間前から他院の漢方薬2種類を内服中でした。低カリウム血症の原因として,漢方薬の副作用である偽性アルドステロン症を疑いましたが,漢方薬の中止に関しては他院と連携が取れず,とりあえず低カリウム血症の補正を考えました。このようなケースでは,カリウム製剤あるいは抗アルドステロン薬のどちらを優先して投与するべきでしょうか。 (愛知県 N)【A】
漢方薬の中に甘草が含まれる場合は,偽性アルドステロン症による低カリウム血症が疑われます。このような場合,漢方薬の中止が低カリウム血症の治療の基本になります。可能な限り漢方薬の休薬をお勧めします。それが困難な場合は,抗アルドステロン薬が有効です。抗アルドステロン薬には,スピロノラクトンとエプレレノンがありますが,糖尿病腎症がない場合は副作用の少ないエプレレノンのほうが使いやすいかもしれません。糖尿病腎症がある場合は,スピロノラクトンになります。血清カリウム値が3.0mEq/Lと極端な低値ではなく,またCKの上昇もみられないことから,エプレレノン25mg/日またはスピロノラクトン12.5mg/日と少量から開始するのがよいでしょう。