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漢方薬による低カリウム血症を補正するにはどうすればいいですか?

 【休薬が困難な場合は抗アルドステロン薬が有効】

No.4776 (2015年11月07日発行) P.67

武田仁勇 (金沢大学附属病院内分泌・代謝内科特任教授)

登録日: 2015-11-07

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

70歳,女性。主訴は倦怠感。採血にて,低カリウム血症(3.0mEq/L)と判明。そのほかは異常なし。なお,数週間前から他院の漢方薬2種類を内服中でした。低カリウム血症の原因として,漢方薬の副作用である偽性アルドステロン症を疑いましたが,漢方薬の中止に関しては他院と連携が取れず,とりあえず低カリウム血症の補正を考えました。このようなケースでは,カリウム製剤あるいは抗アルドステロン薬のどちらを優先して投与するべきでしょうか。 (愛知県 N)

【A】

漢方薬の中に甘草が含まれる場合は,偽性アルドステロン症による低カリウム血症が疑われます。このような場合,漢方薬の中止が低カリウム血症の治療の基本になります。可能な限り漢方薬の休薬をお勧めします。それが困難な場合は,抗アルドステロン薬が有効です。抗アルドステロン薬には,スピロノラクトンとエプレレノンがありますが,糖尿病腎症がない場合は副作用の少ないエプレレノンのほうが使いやすいかもしれません。糖尿病腎症がある場合は,スピロノラクトンになります。血清カリウム値が3.0mEq/Lと極端な低値ではなく,またCKの上昇もみられないことから,エプレレノン25mg/日またはスピロノラクトン12.5mg/日と少量から開始するのがよいでしょう。
本例では「そのほかは異常なし」と記載してありますので,腎機能は基準値内と考えられますが,クレアチニンクリアランスが50mL/分未満の場合,内服による腎機能の悪化や高カリウム血症に注意が必要です。血圧の記載がありませんが,正常血圧の場合は,血圧の低下にも注意が必要です。カリウム製剤の投与による補正も可能ですが,偽性アルドステロン症による場合は補正が困難なことが多いです。しかし,漢方薬服用中の低カリウム血症の原因として偽性アルドステロン症以外の病態も考えられます。そのような場合はカリウム製剤による補正が優先されます。

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