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外陰扁平上皮癌の治療戦略:化学療法同時放射線療法

No.4697 (2014年05月03日発行) P.58

二神真行 (弘前大学産婦人科講師)

登録日: 2014-05-03

最終更新日: 2016-10-26

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産婦人科領域の悪性腫瘍の中でも外陰癌は比較的稀な疾患で,広汎外陰切除術に代表される手術療法が標準治療とされていた。しかし,外陰癌は70歳以上の高齢者に多く発生し,また,広汎外陰切除術や進行例では放射線療法も併用するため,術後瘢痕拘縮や創部感染など合併症のリスクが高く,治療に難渋する症例も少なくない。
一方,最近扁平上皮癌が多数を占める子宮頸癌では,化学療法同時放射線療法(CCRT)が用いられ,良好な成績を収めていることが報告されるようになってきた(文献1)。同じ扁平上皮癌である外陰癌でもCCRTを用いた臨床成績が報告され,その局所制御率は60~80%との報告がある(文献2)。
例数は少ないものの,当科でも進行外陰扁平上皮癌7例に対して,パイロットスタディとしてネダプラチンを用いたCCRTを行った。その結果,5例の無病生存(1例は10年後再発し手術により無病生存),2例の原病死という成績を示し,広汎外陰切除術に比べて遜色のない結果であることが判明した。そこで,東北県内の大学が連携して開催している東北婦人科腫瘍研究会(TGCU)で外陰癌の治療成績の後方視的検討を行ったところ,CCRT群(n=11)と手術群(n=34)では5年生存率が両群とも48%と同等であった。CCRT群で圧倒的に進行症例を含んでいたことを考えれば,これからの外陰癌治療においてCCRTが主体となる可能性が示唆された。

【文献】


1) Yokoyama Y, et al:Oncol Rep. 2008;19(6): 1551-6.
2) Moore DH, et al:Gynecol Oncol. 2012;124(3): 529-33.

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