日本産婦人科医会主導のもと(文献1),わが国でも2013年度より,子宮頸部細胞診報告様式が日母クラス分類(結果をⅠ~Ⅴの5段階で示す)から,国際標準であるベセスダシステムに一本化された。ベセスダシステムの骨子は,(1)標本の適正・不適正を明確に示すこと,(2)推定病変を記述的に記載すること,の2つに要約される。ベセスダシステムの導入により,不適正検体の減少と検診の精度管理の質の向上が期待されている。また,ベセスダシステムは子宮頸癌の発癌に関与するヒトパピローマウイルス(HPV)に関するエビデンスを取り入れたものであり,実臨床に沿った報告様式と言える。
ベセスダシステム報告様式では,診断困難な異型細胞に対して新たにASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)というクライテリアを設けている。ASC-USの取り扱い(トリアージ)としては,HPV検査が最も推奨される。HPV検査陽性の場合は精密検査(コルポ診)とし,陰性の場合は1年後の細胞診再検査となる。筆者らの検討では,ASC-US/HPV陽性群からは細胞診LSIL(軽度扁平上皮内病変)群とほぼ同じ頻度で子宮頸部上皮内病変(CIN)が発見されており,このトリアージの妥当性が示されている(文献2)。
厚生労働省からベセスダシステムへの一本化の通達が出されて1年あまりが経つが,まだ40%ほどの自治体が日母クラス分類を併記している。ベセスダシステムの浸透が待たれるところである。
1) 鈴木光明, 他:ベセスダシステム2001準拠子宮頸部細胞診報告様式の理解のために. 日本産婦人科医会, 2008.
2) 藤原寛行:日婦腫瘍会誌. 2014;32(3):375.