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新しい化学物質管理

No.4747 (2015年04月18日発行) P.54

圓藤吟史 (大阪市立大学産業医学・都市環境医学教授)

登録日: 2015-04-18

最終更新日: 2016-10-26

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化学物質の管理は,法令により個別規制が行われてきた。しかし,個別規制は被害が出てからの後追いであり,未然防止にはなっていない。そのため,国際的には,事業者による自主的な管理が推進されるようになってきた。一方,2012年に明らかになった印刷業における胆管癌の多発が,当時未規制化学物質とされていた1,2-ジクロロプロパンの高濃度曝露が原因とされた。これらのことから,一定の危険・有害な物質に対して健康被害を防ぐため,事業者が自主的にリスクマネジメントする仕組みが求められるようになった。
現行の化学物質管理では,8物質が製造禁止とされているほか,116物質が個別規制されている。そのほか,640物質が一定の危険・有害な物質とみなされ,安全データシート(SDS)の交付が義務づけられており,危険性または有害性などの調査(リスクアセスメント)が努力義務となっている。労働安全衛生法改正により,事業者は一定の危険・有害な物質の使用に際しリスクアセスメントを行うことが義務づけられた。
リスクアセスメントの次は,労働者の危険・健康障害を防止するために必要な措置を講じることである。このことが新たに努力義務と規定された。リスクアセスメントが十分定着すれば,必要な措置を講じることが義務化されると思われる。化学物質のリスクアセスメントには,化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)の活用,作業者の個人曝露濃度の推定および測定などが勧められる。

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