株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

卵巣癌治療におけるベバシズマブの有用性

No.4761 (2015年07月25日発行) P.55

河野善明 (九州大学産科婦人科)

加藤聖子 (九州大学産科婦人科教授)

登録日: 2015-07-25

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

初回治療の卵巣癌患者を対象としたGOG-0218とICON7両試験は,パクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法にベバシズマブ(BEV)を併用し,標準化学療法終了後にBEVを継続維持投与したとき,無増悪生存期間(PFS)が標準化学療法に比べ有意に延長することを示した(文献1,2)。一方,初回再発のプラチナ感受性(プラチナ製剤最終投与から6カ月以降に再発)卵巣癌患者を対象としたOCEANS試験,プラチナ抵抗性(同6カ月未満)患者を対象としたAURELIA試験でも,BEVと標準的な化学療法の併用は標準治療と比較してPFSを有意に改善することを示した(文献3,4)。
さらに,わが国からも49症例が登録されたGOG
213試験結果の一部が公表され,プラチナ感受性再発卵巣癌症例に対するTC療法とBEVの併用はTC療法に比べPFSを有意に延長した。ただし,BEVには消化管穿孔,血栓塞栓症,高血圧,創傷治癒遅延,出血,蛋白尿などの特徴的な副作用が認められ,注意を要する。これに伴い『卵巣がん治療ガイドライン2015年版』では,初回化学療法もしくは再発症例に対してBEVを使用する際には「慎重な患者選択と適切な有害事象のモニターが必要である」としている。日本人におけるBEVの安全性を確認するJGOG3022試験が現在進行中である。

【文献】


1) Burger RA, et al:N Engl J Med. 2011;365(26):2473-83.
2) Perren TJ, et al:N Engl J Med. 2011;365(26):2484-96.
3) Aghajanian C, et al:J Clin Oncol. 2012;30(17):2039-45.
4) Eric PL, et al:J Clin Oncol. 2012;30(18):Suppl LBA5002.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top