胃癌の主因であるピロリ菌の除菌治療が広く浸透してきましたが,除菌治療後も胃癌の発生はゼロにはならず,継続した胃癌検診が必要であることは言うまでもありません。昨年,対策型検診においても胃内視鏡が検診項目として加えられ,今後,内視鏡による胃癌検診が増加することが予想されます。しかし,ピロリ菌の有無や除菌歴,胃癌の既往,年齢などで胃癌リスクは異なりますし,最近の傾向として患者は安楽な検査を望んでいます。実地臨床では,これらの問題点や患者のニーズにどう対応すればよいのでしょうか。この分野のオピニオンリーダーである東京医科大学・河合 隆先生のご教示をお願いします。
【質問者】
永原章仁 順天堂大学医学部附属静岡病院消化器内科 教授
「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」では,対策型胃癌検診においても内視鏡検診が胃X線検査と同様に推奨されました。これに伴い新たに内視鏡検診を導入した,あるいは導入を予定している自治体が増えています。しかし胃癌内視鏡検診は始まったばかりで,各地域において手探り状態です。自治体(人口10万以上の282自治体)へのヒアリングでは,導入済み22%,導入予定17%とわずかです。各医師会・自治体ともに住民からの内視鏡検診の希望が多く,早急に導入するよう鋭意準備を進めている状況です。
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