31歳の女性。保育園の非常勤保育士。9歳と4歳の男児がいる。既往歴,アレルギー歴,特記事項はない。4歳の男児が5日前に咽頭炎で受診したが,現在は治癒している。
【現病歴】妊娠16週(経妊2回,経産2回)。22時頃腹痛が出現し,かかりつけの助産院を受診したが,痛みが強く,提携のクリニックで子宮収縮抑制薬を投与するも改善せず。切迫流産の診断で,クリニックから当院に搬送された。搬送時,38.5℃の発熱,規則的な子宮収縮を認めた。明らかな筋腫・卵巣囊腫なし。消化器症状なし。食事で気になるものはない。来院6時間後,自然流産に至った。入院時,2病日の各種検査値を表1に示す。
本例は,規則的な子宮収縮から切迫流産の診断となり,原因として母体発熱があることから感染が疑われた。入院時の検査所見では,白血球数の上昇とCRPの軽度上昇のみであり,明らかな感染徴候を認めなかった。感染の検査,治療はどうするべきであろうか。切迫流産の原因として,絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis;CAM)が疑われるが,発熱以外にそれを示唆する所見はなかった。CAMは上行性感染が原因であることが多いが,本当に上行性感染だったのであろうか。本人の職業や家族の感染歴も参考にすべきか。感染の起因菌を特定するために,血液培養と帯下培養を採取し,セフメタゾールナトリウムの点滴を開始した。
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