我が国においては生活の西欧化に伴い疾病構造と消化器疾患診療に大きな変化が訪れている。例えば消化器癌の死亡率では胃癌や肝癌が減少傾向で,大腸癌や膵癌は年々増加を示している。しかし,胃癌に関しては年間約5万人が死亡している重要な疾患で,特に50代以上の約7割がHelicobacter pylori(H.p)に感染している現状では,高齢者を中心にそのリスクは依然高い。以上を踏まえ,2013年2月に「H.p感染胃炎」が保険適用となり,内視鏡検査で胃炎の確定診断がなされH.p感染の診断ができれば,除菌治療が受けられるようになったことの意義は誠に大きい。この動きを反映して,胃癌の死亡率減少に拍車がかかることを期待している。
今後は,胃酸分泌過多を背景とした胃食道逆流症やBarrett食道の増加が想定されるが,一方,心血管イベントの改善や脳塞栓予防を目的として,新規抗血小板薬あるいは抗凝固薬が盛んに上市されている現状において,従来の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も含めた薬剤性消化管出血の危険性が注目されている。しかも,胃・十二指腸ばかりでなく小腸における傷害が注目されている。
小腸では,カプセル内視鏡やバルーン付き内視鏡などの発達により,不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding;OGIB)の原因となる病変が無視できない頻度に存在することも認識されてきており,プロトンポンプ阻害薬(PPI)では防げない小腸粘膜病変に対する新規薬物の開発が待たれている。
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)の治療は,抗TNF-α抗体製剤の適応拡大や免疫調節薬の普及などで選択肢が広がり,多くの重症例や難治例もコントロールできるようになってきた。将来は抗接着分子抗体製剤などの導入で治療法もより多彩になっていくと考えられるが,本質的にIBDのイニシエーションを誘導するキーファクターの同定と改善が今後は必要である。以上から,環境因子,特に食事や微生物の宿主に与える影響につき,分子レベルの解析をもっと進めていかなければならないと考える。
機能性消化管障害の分野においても,アコチアミドが2013年から機能性ディスペプシア(functional dyspepsia;FD)に保険適用となり,最近下痢型過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)に認可されたセロトニン拮抗薬や慢性便秘に使用できるクロライドチャネル作動薬などとともに,その治療選択肢は確実に広まっている。このような中で,機能性消化管障害においてもその病因を消化器のみならず,中枢神経機能を含めて全身臓器の異常から追究する研究が進んでおり,host-microbial interactionも注目を集めている。また,これはトピックスに取り上げていないが,肥満や糖尿病などの代謝疾患における消化管レセプターや消化管ホルモン,あるいは腸内細菌の役割が重要視されている。すなわち,全身の代謝をコントロールするレギュレーターとしての消化管の役割を考える新しい学問が展開されつつある。
最後に,がん治療で注目されているが,消化器疾患においてもテーラーメイド医療を行う有用性が示されつつある。リスクをあらかじめ予想できるパラメータを見つけ,それを回避できる方策を手に入れなくてはならないが,EBMに基づいた個別化治療の方向へのパラダイムシフトが,確実に進行しつつあると言えるであろう。
最も注目されるTOPICとその臨床的意義
TOPIC 1/「H.p感染胃炎」の除菌治療が保険適用に
胃・十二指腸潰瘍のみならず,内視鏡検査によって胃炎の確定診断がなされた「H.p感染胃炎」患者すべてに対し,H.p除菌治療を保険診療で行うことが2013年から可能となった。今後は我が国の胃癌死亡率減少に拍車がかかることが期待される。
この1年間の主なTOPICS
1 「H.p感染胃炎」の除菌治療が保険適用に
2 炎症性腸疾患において粘膜治癒が治療目標とされ,画像診断の重要性が高まった
3 機能性消化管障害に対する病態生理の解明や治療薬開発が進められた
4 大腸カプセル内視鏡を用いた診断が実用化され, 膵胆道領域での内視鏡的治療技術が進歩した
5 自己免疫性膵胆道疾患の診断基準や治療指針が整備された
クローン病に対する治療の劇的な変化は,キメラ型のインフリキシマブ(IFX)が2002年に寛解導入療法,2007年には寛解維持療法に承認されたことである。第二の生物学的製剤としてアダリムマブ(ADA)が2010年に承認され,2011年8月にはIFXの増量(5→10mg/kg)が承認され,保険診療の幅が広がった。生物学的製剤の正しい使い方もこの10年間で蓄積され,増量すべき病態や中止可能が検討できる病態が明らかになってきた。その判断は血清学的検査では感度が悪すぎ,粘膜レベルでの客観的評価が必須であるが,従来の小腸の評価法には問題点が多かった。カプセル内視鏡は滞留の危惧からクローン病への適応が認められていなかったが,2012年7月にパテンシーカプセルが承認を受け,クローン病への使用が可能になった1)。また我が国で開発されたバルーン内視鏡は,さらに採用施設が増加しつつある。
海外では,MRIを用いたenterography2)や超音波を用いた検査が急速に広まっている。また,便検体を用いたカルプロテクチン3)も海外で普及しており,我が国でも近い将来の承認が期待されている。薬剤の進歩と画像診断法の進歩の両輪が合わさり,治療目標は粘膜治癒へとますます高まっている。しかし,疾患活動性を評価するバイオマーカーはまだまだ満足のいくレベルとは言えず,研究途上にある。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)に対しては,我が国では5-ASA製剤,ステロイド,アザチオプリン,抗TNF-α製剤,タクロリムス,白血球除去療法など,欧米よりも充実した治療選択肢を有している。難治性UCに対して,タクロリムスとIFXをどう使い分けるのかは,未解決の問題点である。一時的に奏効しても長期予後の成績は芳しくなく,手術を含めた治療選択肢に関しても未解決である。ひとたび開始されたIFXの中止基準は何かなど,検討課題もあり,我が国での大規模研究が進められているところである。
ベーチェット病(Behçet’s disease;BD)はシルクロード病との別名もあるように,アジア,中近東,地中海沿岸地方に多く見られ,欧州および米国ではきわめて稀な疾患である。日本におけるBDの特定疾患医療受給者数は1万8000人以上(2010年3月現在)で,このうち10~15%は腸管型BDと言われている。腸管型BDは難病であることに加え治療方針が定まっておらず,クローン病やUCの治療に準じていたが,どの薬剤も腸管型BDには適応を有していなかった。そこで,2013年5月にADAが腸管型BD治療薬として承認された。欧米では稀な疾患であることから治療方針の決定に関して我が国の役割は大きい。アジアのリーダーたる情報発信源として,活躍が求められている。
(穂苅量太)
◉文 献
1) Tontini GE, et al:J Crohns Colitis. 2013; pii:S1873-9946(13)00316-4. doi: 10.1016/j.crohns.2013.09.004. [Epub ahead of print]
2) Mazziotti S, et al:Inflamm Bowel Dis. 2011;17(5):1209-22.
3) van Rheenen PF, et al:BMJ. 2010;341: c3369.
機能性消化管障害(functional gastrointestinal disorder;FGID)の代表は機能性ディスペプシア(FD)と過敏性腸症候群(IBS)であり,プライマリケアの消化器領域での意義は大きい。多彩な症状を正確に反映する指標作りが課題で,Rome委員会の基準をもとに,日本の医療事情を加味した実用的なガイドラインを現在,日本消化器病学会で作成中である。
FDではPPIなどの酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬が,IBSでは消化管運動機能調節薬が基本薬剤で,高分子重合体を併用することが多い。消化管運動が亢進している下痢型IBSには,5-HT3受容体拮抗薬が用いられる(ラモセトロン,保険適用は男性のみ)。日本では抗コリン薬の効果が多く報告されているが,海外では十分な改善が証明されていない。消化管運動が低下しているFDや便秘型IBSには5-HT4受容体作動薬が効果的とされる。米国ではテガセロドなどが承認されているが,血管系の副作用があり日本では唯一モサプリドが慢性胃炎に承認されている。ドパミンD2受容体拮抗薬・コリンエステラーゼ阻害薬は,FDではいくつかの処方が可能であるが,IBSでの効果は確立されていない。また,難治・中等症以上のFGIDでは中枢神経系の関与が強く想定されており,抗不安薬・抗うつ薬(三環系やSSRI)による薬物療法や認知行動療法が効果的である。しかし評価系の設定が難しく,大規模多施設ランダム化比較試験,無作為化比較試験が行いにくいため,エビデンスの確立が待たれる。
最近の話題では,2013年にコリンエステラーゼ阻害薬であるアコチアミドが,我が国で唯一のFDに対する保険適用薬として登場した。臨床試験は日本人を対象とし,症状が食事と関連する食後愁訴症候群(PDS-FD)に有用性が示された1)。また,腸管上皮のtype 2クロライドチャネルの活性化により腸管内への水分分泌を促進し,排便を促進するルビプロストンが2006年に米国で承認され,便秘型IBSでの有用性が認められるが2),我が国でも慢性便秘症に承認された。
消化管運動異常と内臓知覚過敏,脳─腸相関がFGID病態の基軸であるが,臓器特異性などそれだけでは説明できない部分もある。最近では,運動異常と知覚過敏の源流としての粘膜微小炎症が注目され,急性感染後の肥満細胞など免疫担当細胞の関与,IBSでは非吸収性リファキシミンなどの有効性の報告がされ(国内未承認),腸内細菌とその産生物質も注目されている。そして,食事・炎症(感染症)・心理(幼少期の被虐待歴)など,多様な刺激要因により消化管壁の神経ネットワークの過敏性が形成され,軽微な刺激に対しても過剰に反応してしまう病態ストーリーが描かれつつある。今後病態が明らかにされてくる食餌抗原に対する,腸管の過敏症との関連にも注目したい3)。
(渡辺知佳子)
◉文 献
1) Matsueda K, et al:Gut. 2012;61(6):821-8.
2) Chey WD, et al:Aliment Pharmacol Ther. 2012; 35(5):587-99.
3) Verdu EF:Am J Gastroenterol. 2011;106(3): 516-8.
下部内視鏡分野では大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が2012年4月から保険導入となり,大きな大腸病変でも内視鏡一括摘除が可能となった。カプセル内視鏡の分野でも大きな進展がここ数年で見られる。2012年には小腸カプセル内視鏡が「上部・下部消化管検査を行っても原因を特定できない消化管出血(OGIB)」だけではなく,小腸疾患が既知もしくは疑われる症例に適用拡大され,またパテンシーカプセルが承認された。
大腸カプセル内視鏡(colon capsule endoscopy;CCE)は2006年に登場し,現在は改良され第2世代が発売されている。2013年7月に我が国で販売承認され,2014年から保険収載となる。CCEは,小腸カプセル内視鏡より5mmほど長く(長さ31mm×幅11mm),前後にカメラが内蔵されている。第1世代と比較し第2世代CCEは,撮影視野が広角になった(156度→172度)こと,また進むスピードにより撮影頻度が1分当たり4~35枚と変化するadaptive frame rate機能が備わったことで,病変の見落としリスクの軽減につながると期待される。6mm以上の大腸ポリープを検出できる感度・特異度はそれぞれ,63~91%,87~94%という報告がある1)2)。
CCE検査の課題としては,腸管内の洗浄度が十分観察することができる程度にきれいであること,バッテリー時間内に全大腸を観察し体外へ排出されることである。欧米では4~6Lという大量の腸管洗浄液を,検査の前日もしくは前々日から服用しなければならない。大量の前処置が必要となると,やはり患者に負担となり検査受診率は上がらないと危惧されるため,最近,洗浄度を確保したまま,できる限り前処置量を減らす方法が試みられている3)。
今回CCEが保険適用となり,大腸癌検診の受診率向上につながるのではないかと期待される。既知の内視鏡検査で挿入困難な症例や,大腸内視鏡検査を受けることに不安を抱いて敬遠していた患者にとっては特に有用であろうと考えられる。
(碓井真吾)
巨大総胆管結石に対する内視鏡治療において,従来乳頭の大~中切開+結石破砕を行っていたが,2003年に初めて報告された内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(endoscopic papillary large balloon dilation;EPLBD)に使用するデバイスが,2012年に我が国でも薬事承認されてから急速に普及している。これは,十二指腸乳頭を小~中切開した後,下部胆管径に合わせて10~20mm径のバルーンで拡張を行う手技で,20mm以上の結石でも容易に採石でき,治療回数の減少にも貢献している(施設によっては乳頭切開せずにEPLBDを行っている)。
Teohら4)は7つのRCTをまとめたメタアナリシスを報告し,EPLBDが安全性,有効性,費用対効果において内視鏡的乳頭切開術(endoscopic sphincteropapillotomy;EST)よりも優れていることを述べており,低侵襲治療として今後ますます普及するものと思われる。
膵仮性嚢胞や胆道悪性狭窄に対するドレナージ,膵臓の微小病変に対する超音波内視鏡下穿刺生検法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;EUS-FNA),癌性疼痛に対する腹腔神経節ブロックなど,コンベックス型超音波内視鏡を用いたinterventional EUSが普及し,その可能性は急速に広がっている。
特に,急性膵炎後の仮性嚢胞に対する治療法は大きく進歩し,従来の急性膵炎のAtlanta分類では,同じ治療法でも治療成績が異なるなど問題が生じてきたため,2012年に改訂された5)。急性仮性嚢胞の中で,壊死性膵炎後の液状化した壊死組織を内包する被包された壊死膵組織,あるいは膵周囲壊死組織の有無といった観点が新たに加えられ,これをwalled-off necrosis(WON)と称する。
膵仮性嚢胞に対するEUS下ドレナージは主に経胃的アプローチとなるが,WONでは,穿刺ルートをバルーンで拡張して内視鏡そのものを内腔に挿入,内部の洗浄および壊死物質の除去を行う内視鏡的ネクロセクトミーが報告されている。さらにItoiら6)は,大口径でステント両端がアンカーになっているヨーヨータイプのカバードメタリックステントを留置し,ここを通して何回でもスコープを出し入れすることで効率的に壊死物質の除去を行う方法を報告している。
十二指腸浸潤を伴った悪性胆道狭窄など,経乳頭的胆道ドレナージが困難な症例において,十二指腸→肝外胆管ルートのEUS下胆道ドレナージ術が有用であることが2001年に報告された。以後,胃→肝内胆管ルート,急性胆嚢炎に対する十二指腸球部→胆嚢ルートなど,様々な穿刺ルートが報告され,その低侵襲性から我が国でも急速に普及してきている。いずれの穿刺ルートでも,最も頻度が高い偶発症は,ステントの迷入・逸脱による胆汁性腹膜炎および気腹症である。これらを予防するため,プラスチックステントの代わりにカバー付金属ステントを使用することで,消化管壁および胆管壁に固定されやすくなり偶発症の頻度が減少する。しかし,消化管蠕動や呼吸性変動などによるステント迷入・逸脱のリスクはゼロにはならず,ステント両端に鍔の付いた,EUSドレナージ専用のステントなどが開発中である7)。
(高本俊介)
◉文 献
1) Spada C, et al:J Clin Gastroenterol. 2011; 45(2):119-24.
2) Hartmann D, et al:Endoscopy. 2012; 44 (5):482-6.
3) Kakugawa Y, et al:World J Gastroenterol. 2012;18(17):2092-8.
4) Teoh AY, et al:Gastroenterology. 2013;144 (2):341-5. e1.
5) Banks PA, et al:Gut. 2013;62(1):102-11.
6) Itoi T et al:Gastrointest Endosc. 2006;64 (4)512-9.
7) 北野雅之, 他:日消誌. 2013;110(4):557-67.
膵胆道疾患において,近年新たな疾患概念として注目を集めているのが自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis;AIP),およびIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-related sclerosing cholangitis;IgG4-SC)である。この両疾患はIgG4関連疾患として位置づけられており,我が国からの報告を中心に国際的に確立・整備されてきた経緯がある。AIPには1型と2型があるが,我が国では2型はきわめて稀で,近年日本膵臓学会と厚生労働省難治性膵疾患調査研究班では1型AIPを対象として診断基準を改訂し,「自己免疫性膵炎臨床診断基準2011」として発表した1)2)。同診断基準では,(1)膵腫大:a. びまん性腫大,b. 限局性腫大,(2)主膵管の不整狭細像:ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)による,(3)血清学的所見:高IgG4血症(≧135mg/dL),(4)lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)を呈する病理所見,(5)膵外病変:硬化性胆管炎,硬化性涙腺炎・唾液腺炎,後腹膜線維症,の5項目が提示され,さらにオプションとしてステロイド治療の効果が挙げられている。これらの診断項目の組み合わせで確診,準確診,疑診と診断される。しばしば閉塞性黄疸を認めるため,膵癌や胆管癌との鑑別が重要である。また疑診症例の中に血清IgG4正常の2型AIPが含まれる可能性についても留意が必要である1)2)。
一方,その多くがAIPを合併するIgG4-SCの診断基準も,「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」として近年改訂された3)。同診断基準は,(1)胆管画像検査において肝内・肝外胆管にびまん性,あるいは限局性の特徴的な狭窄像と壁肥厚を伴う硬化性病変を認める,(2)血液学的に高IgG4血症(≧135mg/dL)を認める,(3)自己免疫性膵炎,IgG4関連涙腺炎・唾液腺炎,IgG4関連後腹膜線維症のいずれかの合併を認める,(4)胆管壁に以下の病理組織学的所見を認める,①高度なリンパ球, 形質細胞の浸潤と線維化,②強拡大1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤,③花筵状線維化,④閉塞性静脈炎,の4診断項目からなり,さらにオプションとしてステロイド治療の効果が提示されている。これらの診断項目の組み合わせで確診,準確診,疑診と診断される。胆管癌,膵癌,原発性硬化性胆管炎などとの鑑別が重要となる。
長期予後は不明であるが,AIPもIgG4-SCもステロイド治療が奏効する比較的予後良好な疾患と考えられている。そのため,予後不良な胆管癌,膵癌,原発性硬化性胆管炎などとの鑑別はきわめて重要である。近年の診断基準の整備により,今後症例が蓄積され,我が国での疫学的背景,診断・治療基準,長期予後などがさらに明らかになるものと思われる。疑わしい症例に遭遇した際には,本疾患を念頭に血清IgG4測定や,専門医療機関へのコンサルトが必要となろう。
(富田謙吾)
◉文 献
1) 日本膵臓学会・厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班:膵臓. 2012;27(1):17-25.
2) 厚生労働省難治性疾患克服研究事業 奨励研究分野 IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班:日内会誌. 2012; 101(3):795-804.
3) 厚生労働省IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班:胆道. 2012;26(1):59-63.