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僧帽弁に対するカテーテル治療の現状と今後【PTMCは確立した治療。mitral clipは再治療率を低下させることが課題】

No.4875 (2017年09月30日発行) P.56

上妻 謙 (帝京大学医学部附属病院循環器内科教授)

桃原哲也 (公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科部長)

登録日: 2017-09-27

最終更新日: 2017-09-26

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  • 僧帽弁に対するカテーテル治療の現状と今後について,榊原記念病院・桃原哲也先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    上妻 謙 帝京大学医学部附属病院循環器内科教授



    【回答】

    僧帽弁狭窄症に対する経皮的(経静脈的)僧帽弁交連切開術〔percutaneous(transvenous)mitral commissurotomy:PTMC〕と僧帽弁閉鎖不全症に対するmitral clipについて,簡潔に解説します。

    (1)僧帽弁狭窄症

    低侵襲治療としては,イノウエ・バルーン®を用いたPTMCがその代表であり,世界のカテーテル弁治療の領域を創生したと言っても過言ではありません。大腿静脈から心房中隔を経由して左心房底部の僧帽弁に到達するカテーテル操作とバルーン技術を特徴としています。

    PTMCの適応は,2006年度合同研究班報告による「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」に基づく僧帽弁狭窄症治療指針に基づきます1)。基本的には,息切れなどの自覚症状のある弁口面積が1.5cm2未満の患者が対象となります。

    PTMCは,安全性も含めて確立された治療であり,僧帽弁置換術の代替治療です。弁形態が適した僧帽弁狭窄症では,classⅠであることが「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」に明示されています。

    PTMCの不適応例は,心房内血栓を有する例,NYHAⅢ度以上の僧帽弁逆流(mitral regurgitation:MR)例,高度または両交連部の石灰沈着例,高度の大動脈弁閉鎖不全症例や三尖弁狭窄症または閉鎖不全症例,冠動脈バイパス術が必要な冠動脈病変を有する例です。

    以下にPTMC施術例を示します。

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