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睡眠時無呼吸症候群に対する鼻腔挿入デバイス(NAS)の有効性は?【CPAP,マウスピースが使えない患者には新たな治療法となる】

No.4875 (2017年09月30日発行) P.64

佐藤 誠 (筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授)

登録日: 2017-10-03

最終更新日: 2017-09-26

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  • 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)に対し,鼻腔挿入デバイスは,従来の口腔内治療装置,持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)などと比較して有効なのでしょうか。 筑波大学・佐藤 誠先生にお尋ねします。

    (東京都 S)



    【回答】

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する鼻腔挿入デバイスとは,simple Nasal Airway Stent(s-NAS:nas´tentTM classic)という一般医療機器を指し,本器械に関するご質問と解釈して回答させて頂きます。

    一般臨床で遭遇するSAS患者のほとんどが,いびきを伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea:OSA)です。睡眠という生理現象に伴って上気道の一部分(時に複数部分)が狭窄するといびきが出現します。狭窄が高じて上気道が閉塞した状態がOSAで,これを防ぐのがCPAP,口腔内治療装置(マウスピース),鼻腔挿入デバイスです。

    鼻咽頭・口腔外科領域の手術後や意識がない患者の気道を確保するために使用される鼻腔挿入デバイスnasopharyngeal airway(nasal trumpet)が,OSAを防ぐ鼻腔挿入デバイスとしても有効であることが症例報告されています1)。すべてのOSA患者がnasal trumpetを自己挿入して,毎晩継続して使用することが可能であれば,その効果はCPAP以上だと考えますが,nasal trumpetの材質は硬くて外径も太いので,自己挿入すること,そして挿入後に睡眠を継続して維持することができるOSA患者は稀だと思います。

    私は,多くのOSA患者が使えるような鼻腔挿入デバイスを開発・作成することを目的に,Nasal Airway Stent(NAS)と命名したOSA解消装置を2005年に特許申請しました。その後ベンチャー企業であるseven dreamers laboratories社と共同して,s-NASとexpandable NAS(e-NAS)という2タイプのNASを開発しました。

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