子宮頸部腺癌の組織分類は,WHO分類2003からWHO分類2014に変更となった。新分類では粘液性腺癌の多くが通常型腺癌に分類された。残りの粘液性腺癌が新たにmucinous carcinoma(NOS)に分類され,新たに胃型腺癌が追加された。
胃型腺癌は40歳代に好発し,通常型腺癌と好発年齢において有意差はない。通常型腺癌の約60%が高分化型であるのに対して,胃型腺癌は80%が高分化型で占められ,低分化型は稀である。免疫組織化学的にはHIK1083,MUC6が陽性であるのに対してp16INK4Aの陽性率は低く,高リスクHPV DNAが検出されない。これに対してp53の陽性率が高い。
筆者らは,日本臨床腫瘍グループの婦人科腫瘍グループにおいて,胃型腺癌の調査研究を行った1)。集積された393例の子宮頸部腺癌のうち中央病理診断および適格基準を満たした328例が解析対象となった。328例中95例(28.9%)が胃型腺癌と診断された。胃型腺癌は,病理学的予後不良因子と関連し,生存期間も通常型腺癌と比べて予後不良であった。さらに再発症例の検討では2),再発部位に関して胃型腺癌と通常型腺癌に違いはなかったが,再発後の治療効果においては,放射線治療における胃型腺癌の治療抵抗性を認めた。胃型腺癌のaggressive natureを反映している恐れがあると思われた。
【文献】
1) Nishio S, et al:J Clin Oncol. 2014;32(Suppl abstr 5595).
2) Nishio S, et al:Ann Oncol. 2014;25(Suppl abstr 924).
【解説】
西尾 真*1,牛嶋公生*2 *1久留米大学産婦人科 *2同主任教授