わが国では,胃癌の最大要因であるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の感染率が著明に低下し,除菌治療が保険適用となった2000年以降には,H. pyloriに対する関心が高まったことから胃癌による死亡者数が著明に低下している。H. pylori未感染胃粘膜に胃癌が発症することは稀であるため,現時点では除菌成功後にみられる除菌後胃癌への対策が最も重要な課題となっている。このような背景から,本特集において「ピロリ総除菌時代における除菌後胃癌の特徴」を取り上げた。除菌後胃癌の頻度および危険因子,内視鏡的な形態の特徴,さらには早期発見のコツなどについて,わが国のエキスパートの先生方に詳細なご解説を頂いた。明日からの診療にすぐ役立つものになったことを感謝している。
1 除菌後胃癌の頻度と危険因子
国立病院機構函館病院院長 加藤元嗣
国立病院機構函館病院消化器科 西村友佑
国立病院機構函館病院消化器科医長 久保公利
国立病院機構函館病院消化器科部長 間部克裕
2 除菌後胃癌の特徴と内視鏡所見
広島大学病院消化器・代謝内科診療教授 伊藤公訓
広島大学病院消化器・代謝内科 小刀崇弘
広島大学病院内視鏡診療科教授 田中信治
広島大学病院消化器・代謝内科教授 茶山一彰
3 除菌後胃癌早期発見のための注意点とフォローアップの方法
大分大学福祉健康科学部/大分大学医学部消化器内科学講座教授 兒玉雅明
大分大学医学部消化器内科学講座教授 村上和成