プライマリケアの現場では腹部救急疾患に遭遇することが多い。急性腹症は迅速な対応が必要な急性腹部(胸部なども含む)疾患で,適切に対応するには,限られた時間の中での的確な診断と治療が必要であるが,実際は診断に難渋する場合や初期対応に苦慮する場合も少なくない。しかし,近年の画像診断等の進歩により,診察法も変化しつつあり,急性腹症を診療する医療従事者が利用できるような,急性腹症患者全般を対象とした診療指針を示し,診療の質や効率の向上を目的とした『急性腹症診療ガイドライン』が2015年3月に作成された。作成母体は,日本腹部救急医学会,日本プライマリ・ケア連合学会,日本医学放射線学会,日本産科婦人科学会,日本血管外科学会であり,幅広い領域が網羅されている。本特集ではその概要と活用法が示されており,読者諸兄の日常診療に役立つ企画だと確信している。
1 問診と身体所見を中心とした急性腹症の診断
広島大学病院総合内科・総合診療科 篠田亮子
広島大学病院総合内科・総合診療科准教授 溝岡雅文
広島大学病院総合内科・総合診療科教授 田妻 進
2 急性腹症における初期対応のポイント
日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野診療准教授 小豆畑丈夫
3 急性腹症における画像検査の使いわけ
首都大学東京健康福祉学部放射線学科教授 古川 顕
JA愛知厚生連海南病院画像診断科部長 亀井誠二
帝京大学医学部放射線科学教室准教授 近藤浩史