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【話題3】子宮内膜症に対する薬物療法[特集:今、話題になっていること─婦人科編]

No.4906 (2018年05月05日発行) P.33

明樂重夫 (日本医科大学産婦人科学教室教授)

登録日: 2018-05-04

最終更新日: 2018-04-27

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1. 過去の子宮内膜症に対する薬物療法

子宮内膜症の病巣の進行を抑えるホルモン療法として,1980年頃は中用量ピルがいわゆる偽妊娠療法として用いられていた。この状況を一変させたのが,83年発売のダナゾールと88年発売のGnRHアゴニスト(GnRHa)であった。ダナゾールは合成ステロイドでエチニルテストステロンの誘導体であり,子宮内膜症内膜・子宮内膜症組織への直接作用,抗ゴナドトロピン作用,卵巣での性ステロイド合成阻害作用がある。子宮内膜症性の疼痛の改善や腫瘍径の縮小作用もあったが,体重増加,性器出血,にきびや多毛といった男性化徴候などの副作用があった。発売後は広く使用されていたが,血栓症や卵巣癌のリスクが報告され,現在ではほとんど使用されなくなった。

GnRHaはゴナドトロピンの産生と分泌を抑制し,低エストロゲン状態を惹起することで,エストロゲン依存性疾患である子宮内膜症に治療効果を発揮する。月経困難症や病巣の縮小に有効であるが,その強い低エストロゲン症状により投与は半年間に制限されている。その上,投与終了後には多くの症例で再発がみられるため長期管理には不向きで,現在では術前に病巣の縮小を図る場合や,閉経が近い症例で閉経に逃げ込む目的などに使用が限られるようになってきている。

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