【質問者】
布袋屋 修 虎の門病院消化器内科主任部長
人口の高齢化とともに,わが国における食道癌の罹患数は増加しています。食道癌は進行すると根治が困難ですが,食道周囲へ転移をきたしている可能性が低い食道癌は,低侵襲な内視鏡切除で根治が見込めます。内視鏡切除の中でも食道ESDは,がん化した食道粘膜を任意の範囲で切除することができる優れた方法です。食道ESDにより5cmを超えるようながんや食道全周に広がるようながんも切除できるようになりましたが,術後の瘢痕収縮による食道狭窄の問題が残りました。たとえば,食道の半周以上に広がるがんをESDで切除すると60%以上,全周に広がるがんではほぼ100%に食道狭窄が出現しました。食道狭窄は摂食障害の原因となるため,広範な食道癌に対するESDは避けられてきました。
残り787文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する