監修: | 大内 洋(亀田メディカルセンタースポーツ医学科部長) |
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編著: | 服部惣一(亀田メディカルセンタースポーツ医学科医長) |
編著: | 山田 慎(亀田メディカルセンタースポーツ医学科部長代理) |
判型: | B5判 |
頁数: | 208頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2017年06月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6650-9 |
付録: | - |
2016年4月から学校での運動器検診が始まり、総合臨床医が運動器の診療に関わる機会がますます増加しています。内科をベースとしたトレーニングを受けた総合診療医には運動器の診療はハードルが高いという声を受け、本号では、わかりやすく、Commonな病態や訴えを取り上げ、亀田メディカルセンターでの診断・治療・フォローアップ・予防の仕方をEvidenceを踏まえ解説します。その携帯性の高さからスポーツ現場での第一選択のイメージングモダリティーとなりつつあるエコーの使い方も含め、新たな診療スキルをこの一冊で学び、身につけて下さい!
1章 ジェネラリストが押さえておきたいスポーツ医学─日常臨床で役立つ基礎知識
1 スポーツ外来診療の流れ─その1 問診・身体診察・検査
2 スポーツ外来診療の流れ─その2 治療・リハビリ・復帰
3 運動器検診に呼ばれたら? ─亀田式運動器メディカルチェック
2章 超音波が有用な軟部組織のスポーツ外傷・障害
1 運動器超音波の基本
2 打撲は超音波でこう見えます
3 捻挫は超音波でこう見えます
3章 こんな症例はどう診る? ─日常臨床で出合うスポーツ外傷・障害の診療
A 上肢
1 肩が抜けそうで痛いです─肩脱臼
2 投げると肩が痛いです─野球肩
3 肩が痛いんですけど五十肩ですかね? ─凍結肩・腱板炎
4 肘がずっと痛いです─テニス肘・ゴルフ肘
5 投げると肘が痛いです─野球肘
6 手首がずっと痛いです─TFCC損傷・有鉤骨骨折
B 体幹・股関節
1 股関節がずっと痛いです─ FAI・OA
2 運動すると腰が痛いです─成長期の分離症
3 腰が痛くて脚(あし)も痛いです─ヘルニア・狭窄症
4 頸がずっと痛いです─頸腕症候群
C 下肢
1 膝を捻りました(膝が抜けました)─靱帯損傷・半月板損傷
2 膝がずっと痛いです─ジャンパー膝・オスグット病
3 脛がずっと痛いです─シンスプリント・疲労骨折
4 足首を捻挫しました─靱帯損傷・骨折
5 足がずっと痛いです─足部・足関節の疲労骨折
D スポーツ医学の拡がり
1 東京マラソンに当選したのですが,どうしたら安全に完走できますか?─突然死を防ぐために
2 喘息があるのですが運動しても大丈夫?─喘息患者のスポーツ参加をサポートするために
3 月経とどう向き合えばいいですか?─女性アスリートの月経コントロール
4 脳震盪って診断されたらいつ運動に復帰するの?─スポーツによる脳震盪
5 本当は怖い熱中症!
索 引
巻頭言
スポーツ医学に関わっているすべての職種の者がそれぞれの専門分野で思う存分才筆を振るうことができる。2020年の東京オリンピックを目前にこんな有難い話はない!」と思いました。スポーツ医学科で活躍しているすべてのスタッフが睡眠時間も惜しみ,努力に努力を重ねてやっと本書が完成しました。日本医事新報社の方には様々な相談にものって頂き,感謝の気持ちでいっぱいです。本書を手に取られた皆様のスポーツ医学診療に多少なりともお役に立つことを祈念しております。
監修 亀田メディカルセンタースポーツ医学科部長 大内 洋
2016年4月から学校での運動器検診が開始となり,総合臨床医が運動器の診療に関わる機会が増加しました。2019年ラグビーワールドカップ日本開催ならびに2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて,スポーツ医学が今後ますます注目されることが予想されます。日本では整形外科医がスポーツ医として現場に出ることが多いのですが,海外では総合診療医がスポーツ医として活動することも多いです。スポーツ医の需要が増す時代において,総合診療医もスポーツ診療に関わっていくことが必要となってきます。
しかしながら「内科をベースとしたトレーニングを受けた総合診療医にとっては,運動器のスポーツ診療はハードルが高い」という先生もいらっしゃるのではないでしょうか。逆もしかりで,整形外科医は喘息や救急や貧血など内科的なスポーツ診療を苦手とします。各診療科を横断するような形で存在するスポーツ医学を,専門外の先生にもわかりやすい形でお伝えするのが本書のミッションであり,それを念頭に企画・編集しました。
スポーツ医学は多くの科にまたがり, 医師のみならず薬剤師・理学療法士・トレーナー・栄養士・臨床心理士など多職種が関わっています。また,運動器の診療を行う場合も,肩や膝など疼痛が生じているパーツのみに捉われることなく,全体の運動連鎖から問題にアプローチしていくため,全体を見渡す総合的な視点が欠かせません。総合臨床医はスポーツ医学と相性がよいのです。
スポーツ医学をわかりやすく伝えつつも深い内容にするために,基本コンセプトとし
て「3つのCと2つのE」を掲げました。一般診療所にも訪れる可能性があるCommonな病態や訴えを取り上げ,Case-Basedつまり症例をベースとした形として提示します。また,多様な職種が関わるスポーツ医学の特徴を反映させるべくCo-medicalの執筆者にも協力を仰ぎました。さらに,Evidenceを取り込むことで,世界のスポーツ医学の潮流であるEvidence-Based Sports Medicineを体現するような内容に仕上げました。最後のEはEchoです。その携帯性の高さからスポーツ現場では第一選択のイメージングモダリティーとなりつつありますが,X線やCTやMRIなどが存在しない一般診療所でも大変有益なツールです。
本書はこれら「3Cと2E」に基づいたスポーツ医学の入門書に仕上がったと自負しております。 是非内容をお楽しみ頂き,さらにスポーツ現場に携帯し役立てて頂ければ,それにまさる喜びはありません。
編者を代表して 服部惣一
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。