編著: | 大藤 貴(国立国際医療研究センター国府台病院呼吸器内科) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 168頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2018年12月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6659-2 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
■超高齢社会を迎えたわが国で、患者数の増大が危惧されるCOPD。本書は非専門医がCOPD診療を行う上で「なぜ?」と思うことや「具体的にどうしたらいい?」といった日頃知りたい25の疑問に答える形で解説を進めています。
■2018年春に発行された「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)」を反映させた最新の情報が盛り沢山!近年、新たな概念として提唱されたACO(Asthma and COPD overlap)についてもふれています。
■吸入療法の実際からリハビリテーションや在宅酸素療法に加え、高齢者のCOPD診療で問題となる認知症や終末期医療まで取りあげました。COPD診療の”実践書”として役立つこと間違いなしの1冊です。
第1章 COPDの外来治療
第2章 COPDとリハビリテーション
第3章 COPDと在宅酸素療法
第4章 治療導入後COPDの外来マネジメント
第5章 COPD合併症のマネジメント
第6章 COPDと高齢者医療
第1章 COPDの外来治療
A 禁煙治療の実際
1 患者さんに「禁煙の効果」についてどう説明したらよいでしょうか?
2 禁煙治療に使用する薬剤,費用について教えて下さい
B 吸入療法の実際
1 何も症状がない患者さんにも吸入薬を処方したほうがよいのでしょうか?
2 LAMAの使い方,選び方を教えて下さい
3 LABA・SABAの使い方,選び方を教えて下さい
4 どのような場合にLAMA/LABAを使用しますか?
5 ICSを使用する場面,適応について教えて下さい
6 患者さんに対して,吸入のやり方をどのように教えればよいでしょうか?
C 非吸入療法の実際
1 テオフィリンやツロブテロール,去痰薬の使い方を教えて下さい
2 マクロライド系抗菌薬の効果は?長く続けてよいですか?
第2章 COPDとリハビリテーション
1 どのような患者さんに対して,どういったリハビリテーションを行うのですか?
2 患者さんに対して,どのような運動を勧めるのがよいでしょうか?
3 食べても太れない患者さんへの食生活指導について教えて下さい
第3章 COPDと在宅酸素療法
1 酸素療法の効果と,対象となる患者さんについて教えて下さい
2 どのような装置をつけるのか,また費用について教えて下さい
第4章 治療導入後COPDの外来マネジメント
1 外来定期診療でチェックすべき身体所見やデータについて教えて下さい
2 COPD急性増悪の診断と,その治療について教えて下さい
3 発熱や呼吸困難をきたした患者さんへの診察・検査の進め方を教えて下さい
4 非専門医と呼吸器専門医の連携はどのように行えばよいでしょうか?
5 インフルエンザワクチン,肺炎球菌ワクチンは打つべきでしょうか?
第5章 COPD合併症のマネジメント
1 COPDと喘息が合併する,ACOについて教えて下さい
2 COPDに合併する循環器疾患と,その治療について教えて下さい
3 (忘れがちな併存疾患)のマネジメントについて教えて下さい
第6章 COPDと高齢者医療
1 認知症を合併している場合のマネジメントについて教えて下さい
2 患者さんの予後と終末期医療について教えて下さい
巻頭言
たばこを吸っていると,いつかはCOPDになると知っている人はたくさんいらっしゃいます。COPD患者さんのイメージといえば,体が痩せ,酸素ボンベをつけているご高齢者と考えている方が多いようです。しかし,それはCOPDとしてかなり進行している患者さんです。COPDは発症後,慢性的に進行する呼吸器疾患であり,実は喫煙歴のある40歳以上の患者さんの何割かは,既にCOPDの可能性があります。
本邦で行われた大規模な疫学調査研究の結果,COPDの潜在的な患者数は530万人と推定されました。しかし,2014年の厚生労働省患者調査では,病院でCOPDと診断された患者数は約26万人にすぎません。つまり,他疾患で医療機関を受診していても,COPDであると診断されていない人,そもそも受診していない人をあわせると500万人はいるということになります。
COPDの潜在的な患者数からも,すべての患者さんを呼吸器専門医が治療していくことは不可能です。そして,咳,痰,息切れといった症状で患者さんが受診されるのは,専門医療機関ではなく,日頃からかかっているプライマリケア医が多いのではないでしょうか。
COPDの治療は吸入療法を中心とした薬物治療だけではありません。禁煙,呼吸リハビリテーション,合併症の治療,栄養療法など多岐にわたります。本書は,主にプライマリケアでCOPDの診療を行う先生のために,若手からベテランに及ぶ呼吸器内科医,プライマリケア医,総合内科医,感染症内科医,老年内科医,理学療法士,薬剤師,栄養士など,各領域のエキスパートの先生方にそれぞれの立場からのエッセンスを凝集して頂いた,これまでにない「集合知」と言える一冊です。本書に散りばめられた様々な知識を日常診療に取り入れることで,患者さんに少しでも質の高い医療が提供できるようになれば幸いです。
本書を作成するにあたり,医療法人社団以仁会 稲毛サティクリニック理事長 河内文雄先生に様々なご助力を頂き,深くお礼申し上げます。また,妻の美紀,息子の哲,そして私が医師を志したロールモデルである亡き父 芳にお礼を申し上げます。
2018 年12 月 国立国際医療研究センター国府台病院呼吸器内科
大藤 貴