中央社会保険医療協議会は19日の総会で、初・再診料と外来診療料の妊婦加算の取扱いについて、2019年1月1日から算定を凍結することで一致し、根本匠厚生労働相に答申した。告示改正により「別に厚労大臣が定める日」まで算定不可能とする。厚労省は今後、有識者会議を設置し、妊婦への医療提供のあり方全般にわたり検討する。有識者会議について、厚労省保険局の森光敬子医療課長は「次期改定に間に合うように結論を得る」としており、加算凍結は20年度改定まで続く見通しだ。
妊婦加算は、妊婦の診療に積極的な医療機関を増やすことを目的として18年度改定で創設された。しかし今秋以降、加算の趣旨の説明が十分でないとの反発や、一部医療機関による不適切な算定を指摘する声がSNS上で拡散し、政治問題化した。与党内の議論も踏まえ、根本厚労相は19日の中医協総会に算定の凍結を諮問した。
中医協総会は答申書で、改定の実施状況の調査・検証が行われないまま凍結が諮問されたことは「極めて異例」としつつ、加算に対する誤解と不安があるまま算定を継続すれば「加算の意図の実現が十分に期待できない可能性がある」との判断を明示。ただし、政治判断を酌んで算定凍結に至った経緯を踏まえ、「やむを得ないこととはいえ、誠に遺憾」「エビデンスと検証を踏まえて議論した上で対応するという、これまでの診療報酬改定の基本的な考え方を変更するものではない」との見解を付した。
答申に当たり、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は「(加算について)中医協で患者負担の視点に立った丁寧な議論をしなかったことは事実」とし、「医療機関側のモラルの問題もあるのではないか」と提起。診療側の松本吉郎委員(日本医師会)は「診療報酬はあくまで医療技術とサービスの対価。患者負担については保険制度全体で議論すべき問題だ」と述べた。