鉄欠乏性貧血を主訴とする内科疾患は多くあります。貧血のため、婦人科から内科に紹介することも稀ではないのですが、逆に貧血が見つかってもエコーや内視鏡検査で特に問題がないとして、鉄剤による治療を受けることもある、持ちつ持たれつの疾患領域です。
貧血をきたしやすい疾患として子宮筋腫、子宮内膜ポリープや機能性子宮出血などが挙げられます。子宮筋腫は成人女性の3割程度にみられ、エコー検査上、大なり小なりの筋腫がみられます。
子宮筋腫の3大症状には、月経痛、過多月経と過長月経があります。大多数の女性は、外科手術を受けることなく無事に閉経を迎えることができるのですが、粘膜下筋腫など位置が悪かったり、腫大しすぎると様々な症状が出てきます。
月経痛には鎮痛薬で対処できることが多いのですが、過多月経は意外にやっかいです。中にはヘモグロビン2g/dLくらいまで病院に来ないで我慢する猛者(?)もいます。さすがに2〜3g/dL程度では動悸や息切れ、下肢の浮腫など心不全徴候が出て、日常生活に支障をきたしはじめます。
機能性子宮出血による貧血の頻度は子宮筋腫のそれと比べると低いのですが、意外に高度の貧血をきたすこともあり、侮れません。10歳代後半の若年から40歳代にかけて発症し、無排卵に起因することが多いようです。
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