子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepitherial neoplasia:CIN)とは,一般的に子宮頸癌の前癌病変および従来からの呼称の上皮内癌を示す。CINについては,3種類の呼称と分類方法がある。1つは従来用いられていたものであり,病変を異形成(軽度,中等度,高度)「子宮頸癌取扱い規約 第2版(1997年)」と上皮内癌にわける。2つ目は,病変をCINとし,CIN1,CIN2,CIN3の3段階にわけるものであり,3つ目はHPV(human papilloma virus)感染との関係を重視したベセスダシステム(The Bethesda System)の子宮頸癌の臨床進行期squamous cell intraepithelial lesion(SIL)の概念である1)2)。
CINあるいは初期癌であればほとんど症状はなく,浸潤癌になると性交後出血,不正出血を呈する。
CINあるいは初期癌は無症状が多く,細胞診で異常が指摘され,コルポスコピー,狙い組織診にて病理学的に診断される。クスコ診にて肉眼的に腫瘍が確認できれば診断は容易である。組織診にて診断を確定することで,次に臨床進行期〔表:2018年10月FIGOのOncology Committeeは,新しい子宮頸癌進行期分類 FIGO 2018を示した。新分類では画像診断や病理所見も進行期決定に加味されている。日本産科婦人科学会では2019年1月現在,婦人科腫瘍登録などは現行の臨床進行期分類(日産婦2011)を採用し,新分類の採用に関しては再度お知らせを出すとしている〕の診断に移る。
ⅠA期が疑われるときには,一般的には円錐切除術を施行し進行期診断を行う。ⅠB期以上に診断されたときには,画像診断を用いて,腫瘍径の評価,遠隔転移の評価を行う。画像診断で一般的に描出可能な病変はⅠB期以上の例である。局所進展の評価にはMRI,遠隔転移診断にはCT,PET-CTが勧められる。
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