厚生労働省は11月26日、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するHPVワクチンの定期接種について、2022年4月より積極的勧奨を再開することを決め、全国に通知した。
接種後の持続的な疼痛とHPVワクチンとの因果関係が否定できないとして2013年6月に「国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」との意見を取りまとめた厚生科学審議会の副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会が、最新の知見を踏まえ、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことなどを確認。同省はこれを受け、8年以上続いた積極的勧奨の差し控えに終止符を打つこととした。
26日付の通知では、全国の自治体に対し、対象者(小学6年〜高校1年相当の女子)や保護者への「個別勧奨」を2022年4月から順次実施することを求めるとともに、準備が整っていれば4月以前からの前倒し実施も認める考えを示した。
4価HPVワクチン「ガーダシル」を製造販売するMSDは同日発表したステートメントで「HPVワクチンの積極的な接種勧奨の再開が決定されたことは、この8年以上の間に集積された知見と多くの専門家による検証によってHPVワクチンの有効性と安全性が裏付けられたことによるとMSDは考えている」と強調。
「ガーダシル接種との関連があるとは考えていないものの、接種後に生じたいわゆる『多様な症状』を抱えている若い女性の方々が1日も早く回復することをお祈りしている」としながら、「女性を子宮頸がんから守るには、検診とともにHPVワクチンの接種が重要な役割を果たす」として、今後の接種率向上に期待を寄せている。