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LDLコレステロール値が食事の影響を受ける期間は?

No.4821 (2016年09月17日発行) P.66

庄司哲雄 (大阪市立大学大学院医学研究科血管病態制御学准教授)

登録日: 2016-09-21

最終更新日: 2016-10-14

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  • 健診時に受診者が朝食を摂って来院した際,血糖や中性脂肪は大きく変動しますが,LDLコレステロール(LDL-C)は影響を受けないので検査は有効と言われます。LDL-Cはどのくらいの期間の食事の内容を反映するのでしょうか。

    (質問者:千葉県 K)



    【回答】

    ご質問には,(1)LDL-C値は食後影響を受けるのか,(2)食事療法などでLDL-C値が変化するのにどれくらいの期間がかかるのか,の2点が含まれると受け止めました。

    (1)LDL-CはLDL粒子に含まれるコレステロールの含量で,LDLの粒子数やサイズ,さらにTG値の影響を受ける指標です。スタチンでLDL-C低下療法を行った場合,低下率を40%とすると,治療前のLDL-Cが150mg/dLなら下げ幅は60mg/dLになります。

    一方,1回の食事の前後でどの程度変化するのかについて,最近発表された欧州動脈硬化学会/欧州臨床科学連合(ESA/EFLM)の合同委員会からのコンセンサスステートメント1)を参考に考えてみましょう。これによると,空腹時に比べ食後(1~6時間)の脂質測定値の差(上昇)の平均値は,TGで+26mg/dL,TCで-8mg/dL,LDL-Cで-8mg/dL,non-HDL-Cで-8mg/dL程度で,臨床的には大きなものではないと論じています。確かに,この程度の変動は同一患者を別のタイミングで再検査した場合も認められます。日本動脈硬化学会の2012年版ガイドラインやACC/AHAの2013年版ガイドラインでは非絶食時のnon-HDL-C値を許容していますが,これをTGやLDL-Cにまで拡大してもよいだろうというのがESA/EFLMの考えのようです。

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