子宮体癌は子宮内膜の腺上皮より発生する悪性腫瘍の総称で,以前よりエストロゲン依存性のtypeⅠと非依存性のtypeⅡにわけられ論じられてきた。typeⅠは子宮内膜増殖症を経て発症し,多くは低悪性度で転移しにくく予後良好である。一方,typeⅡは低分化な類内膜癌または類内膜癌以外の組織型で高齢者の萎縮内膜よりde novo発生し,予後不良である。
2013年にThe Cancer Genome Atlas Research Networkが行った統合的ゲノム解析の結果,子宮体癌は4つのグループに分類され1),現在それぞれのグループの治療法について臨床研究が進められている。
多くは不正性器出血を主訴として外来を受診し,超音波検査で子宮内膜の肥厚が確認された後,内膜生検により診断される。類内膜癌は内因性ホルモンに関係するものとして未経産,遅い閉経,エストロゲン産生腫瘍などが,薬剤としてはタモキシフェンやエストロゲン製剤の使用が,その他,肥満,糖尿病などが危険因子として知られている。子宮筋層への浸潤はMRIで,リンパ節や遠隔転移はCT,PET/CTで評価する。臨床進行期は術後病理診断で行われ,再発リスク因子を評価し,追加治療が決定される。
子宮内膜増殖症や子宮内膜に限局したⅠA期の高分化類内膜癌で挙児希望のある患者では,妊孕性温存について検討する。
子宮体癌は手術摘出が基本で,子宮,両側付属器摘出に加え,ステージングのための大網切除,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清を基本とする。ⅠA期の類内膜癌に対しては患者と相談の上,後腹膜リンパ節郭清を省略することもある。また,低侵襲手術として腹腔鏡やロボット支援下手術を行う。進行・再発例では手術,化学療法を組み合わせ,QOLを重視した治療方針となる。
欧米では放射線によるアジュバント治療が行われているが,わが国では主に化学療法によるアジュバント治療が実施されている。化学療法はプラチナ製剤を中心に,ドキソルビシンやタキサン製剤との併用療法を選択する。再発時はMSI検査を実施し,MSI-Highの場合,ペムブロリズマブ投与を行っている。
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