15歳までに初経がないときは初経遅延,18歳を超えて初経がないときは原発性無月経という。
思春期の月経異常,特に無月経には,①発育過程に関連して一過性にみられるものがある一方で,②未治療では月経が発来せず,低身長や骨量減少など将来のQOLを損なう可能性のあるものも含まれる。不要な治療介入は避けなければならないが,将来のQOLにも配慮し時宜を失しないよう,治療介入の時期を判断することが大切である。
ゴナドトロピン値から障害部位を推定する。介入の要否の判断には,年齢とエストラジオール値(絶対値)も役立つ。内診はなるべく控え,超音波検査やMRI検査で代用する。
高ゴナドトロピン性原発性無月経では,ターナー症候群などの卵巣性無月経を疑う。
正ゴナドトロピン性続発性無月経では,発育過程での一過性無月経や,体重減少性無月経,ストレス,重症多囊胞性卵巣症候群(PCOS)による無月経などを考える。原発性無月経では体質性の遅延などを疑う。
低ゴナドトロピン性続発性無月経には,アスリート無月経,神経性やせ症,体重減少性無月経などがある。体重やBMIの絶対値や変化(速度)に注意する。
ターナー症候群で続発性無月経,PCOSで原発性無月経を示す症例もあることに注意する。
思春期の無月経では,精神面(同性や異性との間)と最終身長に配慮して治療開始を判断する。骨端閉鎖後は骨量や代謝に配慮して治療継続を判断する。発育に関連した無月経を疑うときは,6〜12カ月を目安に投薬を中止して病態を評価する。
最終身長については,予測身長(両親の身長の平均値-6cm)と希望する最終身長を聞き取って治療目標を決める。
LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)では骨量増加が不十分となることがある。DEXA(二重エネルギーX線吸収測定法)などで骨量をモニタリングし,エストロゲン量の増量の必要性を検討する。運動や栄養指導も大切である。
卵巣性無月経(ターナー症候群など)では,なるべく早期(12歳頃)にエストロゲン漸増投与を開始する。
神経性やせ症では,精神科医による治療を先行させ,体重が標準体重の90%に近づいてから月経誘発を始める。
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