一手目 :減量指導
体重1割減でAHI 3割減との報告を説明する。
一手目 :アラミストⓇ点鼻液(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)1回各鼻腔に2噴霧1日1回(就寝前),デザレックスⓇ5mg錠(デスロラタジン)1回1錠1日1回(就寝前)もしくはビラノアⓇ20mg OD錠(ビラスチン)1回1錠1日1回(就寝前)併用
一手目 :重低音のいびきが主体なら低侵襲の軟口蓋へのアプローチとしてsuture techniqueを用いた咽頭手術,高調性のいびきがあれば口腔内装置(oral appliance:OA)による治療。鼻腔通気不良なら鼻手術の併施
一手目 :CPAP療法
第一選択は,ガイドラインの推奨およびわが国の保険制度に則りAHI≧20でCPAP療法を行う。CPAP導入時には,①CPAP治療の必要性と有効性について十分な患者教育を行う,②必ず鼻マスクと加湿器の使用から開始する,③Auto CPAPを利用するが,高度肥満でなければ上限圧は11cmH2O以下を目安とする。その後,外来通院にて圧調整等を行い,使用が安定したら遠隔モニタリングを導入し,患者・医療者双方の利便性を向上させる。
鼻腔通気不良や口蓋扁桃肥大によるCPAP使用不良があれば,支持療法として鼻手術や咽頭手術を行う。CPAP不耐で手術適応基準を満たす場合は舌下神経電気刺激療法を検討する。体位依存性OSAでは体位療法を実施する。
アデノイド,口蓋扁桃肥大やアレルギー性鼻炎が関与している場合,下記処方を行う。
一手目 :1歳以上6歳未満:キプレスⓇ4mg細粒(モンテルカストナトリウム)1回1包1日1回(就寝前),6歳以上:キプレスⓇチュアブル5mg錠(モンテルカストナトリウム)1回1錠1日1回(就寝前)。2歳以上では,アラミストⓇ点鼻液(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)1回各鼻腔に1噴霧1日1回(就寝前)併用
保存的治療による症状の改善がみられない場合,保護者の同意を得て実施する。全身麻酔下にアデノイド切除術と両側口蓋扁桃手術を併施することが多い。周術期のトラブルを避けるため,麻酔科医との連携が重要である。
アデノイド切除術:内視鏡を用いて明瞭な術野で後鼻周辺のアデノイドまで十分に切除する。手術時間の短縮と出血量軽減のためパワーデバイスを用いる。
口蓋扁桃手術:両側の口蓋扁桃摘出を基本とする。摘出の方法は,被膜外摘出と被膜内摘出があるが,術後出血のリスク軽減と手術時間の短縮などの利点から,10歳未満の小児では被膜内口蓋扁桃摘出を実施する。術後の疼痛が少なく回復も早いため,付き添いの保護者の不安も軽減する。
術後に口呼吸のくせが改善しない場合は,矯正歯科と連携し口腔機能訓練(myofunctional therapy:MFT)を実施する。
原 浩貴(川崎医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室主任教授)