長期罹患潰瘍性大腸炎患者では,大腸癌のリスクが高いことが知られている。特に全大腸炎型や左側大腸炎型では一般集団と比較してリスクが高いことから,大腸内視鏡によるがんのサーベイランスが多くのガイドラインで推奨されている。
最近の欧州のガイドラインでは大腸癌の家族歴,原発性硬化性胆管炎合併,過去の炎症の強い症例などがハイリスクとされ,内視鏡検査の間隔を年1回にする一方で,ローリスク群では4~5年に1回というようにリスク別に層別化することが推奨されている1)2)。内視鏡検査の開始時期に関しては発症から早期にがんが合併する症例も少なくないことから,罹患6~8年が推奨されている。
様々な内視鏡のモダリティーが開発されてきているが,現段階で腫瘍の発見率向上に寄与する十分なエビデンスがあるものは色素内視鏡である。従来のランダム生検による検出効率は必ずしも高くないことから,欧米のガイドラインでも色素内視鏡を併用した狙撃生検が1つの方法として推奨されるようになってきている。しかしながら,ランダム生検と狙撃生検を直接比較したエビデンスはこれまでになく,現在,厚生労働省の難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班では,この2群を直接比較したランダム化比較試験が行われており,その最終報告が待たれるところである3)。
【文献】
1) Van Assche G, et al:J Crohns Colitis. 2013;7 (1):1-33.
2) Mowat C, et al:Gut. 2011;60(5):571-607.
3) Watanabe T, et al:J Gastroenterol. 2011;46 (Suppl 1):11-6.
【解説】
1)畑 啓介,2)渡邉聡明 東京大学腫瘍外科 1)特任講師(病院) 2)教授