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婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術の応用

No.4700 (2014年05月24日発行) P.58

横山良仁 (弘前大学産科婦人科准教授)

水沼英樹 (弘前大学産科婦人科准教授教授)

登録日: 2014-05-24

最終更新日: 2016-10-26

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婦人科領域における低侵襲性手術の発展には目を瞠るものがある。ハーモニック スカルペルRに代表される高周波電気メスは,1本の鉗子で把持・剥離・凝固・切離が可能で,かつ周囲の熱変性が最小限のため,リンパ節郭清や神経温存手術に威力を発揮する。また,高周波電気メスにシーリング機能が搭載されたサンダービートRが実用化されて止血操作・切開操作が簡便となり,より根治性の高い手術操作が可能となった。
一方,腹腔鏡下子宮体癌手術は保険適用となり,今後がん拠点病院レベルでは必要な手術手技になると予想される。問題点は,技術手技の習熟に時間を要することである。自由度の低い鉗子,止血操作の困難さ,平面モニターが腹腔鏡手術の難点であった。以上を改善すべく,シーリングデバイスや3D内視鏡システムが実用化され,対象臓器が立体化され手術精度の向上が期待できる。
ロボット手術では,術野を10倍まで拡大できる3Dの立体画像によって,手ぶれのない自由度の高い鉗子を駆使して手術できるようになった。欠点として,本体のコストとランニングコストが高額であること,鉗子の触覚のなさ,などがあるが,低侵襲性は明らかであり,当科でロボット手術を行った13名の子宮悪性腫瘍患者全員が今後普及してほしい手術と評価している(文献1)。
低侵襲性と言えども,がんの根治性は担保されなければならない。腹腔鏡下手術は悪性腫瘍治療法の選択肢のひとつにすぎず,その適応にはより厳格な姿勢が望まれる。

【文献】


1) 横山良仁, 他:青森臨産婦医会誌. 2012;27(1):1-8.

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