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子宮体癌縮小手術の可能性

No.4746 (2015年04月11日発行) P.49

吉田智香子 (自治医科大学産科婦人科)

藤原寛行 (自治医科大学産科婦人科准教授)

鈴木光明 (自治医科大学産科婦人科教授)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2016-10-26

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子宮体癌の治療は手術療法が基本であるが,その術式は子宮頸癌に比べて確立されていない。頸部間質浸潤のあるⅡ期癌に対して,広汎あるいは準広汎子宮全摘術が必要か?また,すべての症例に骨盤・傍大動脈リンパ節郭清が必要か?など検討課題が山積している。
北関東婦人科がん臨床試験コンソーシアムの多施設共同での後方視的研究によると,子宮摘出術によるⅡ期癌の予後改善効果はなく,したがって周術期合併症が多い広汎全摘よりも,単純全摘術が支持される結果であった(文献1)。
骨盤・傍大動脈リンパ節郭清は,診断目的(進行期決定)で施行されるが侵襲も多く,合併症の観点から省略可能条件が検討されている。Mayo Clinicでは類内膜腺癌で組織分化度G1/G2,筋層浸潤1/2未満,腫瘍最大径2cm以下,子宮外進展なし,という条件を満たした場合のリンパ節転移率は0.3%と低率なため,その場合,リンパ節郭清は省略可能であると報告している(文献2)。KGOGも類内膜腺癌,MRIの筋層浸潤が1/2未満かつリンパ節腫大や子宮外進展なし,CA125低値という条件を満たせば,リンパ節郭清は省略可能であるとしている(文献3)。また,筆者らの検討でも同様の結果であり(文献4),特に腫瘍径や腫瘍量が重要なリンパ節転移関連因子と考えられた。
子宮体癌に対する適切な手術法に関しては今後エビデンスを積み重ね,個別化,特に縮小化を考慮すべきと考えられる。

【文献】


1) Takano M, et al:Br J Cancer. 2013;109(7):1760-5.
2) Dowdy SC, et al:Gynecol Oncol. 2012;127(1):5-10.
3) Kang S, et al:J Clin Oncol. 2012;30(12):1329-34.
4) 吉田智香子:日婦腫瘍会誌. 2014;32(3):369-70.

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