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子宮体癌の手術療法における傍大動脈リンパ節郭清の意義

No.4757 (2015年06月27日発行) P.53

一戸晶元 (九州大学産科婦人科)

加藤聖子 (九州大学産科婦人科教授)

登録日: 2015-06-27

最終更新日: 2016-10-26

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子宮体癌は子宮頸癌に比較して放射線感受性が低く,卵巣癌のように化学療法での標準治療が確立されていないため,手術療法が第一選択である。子宮全摘出術,両側付属器摘出術,腹腔細胞診が基本術式で,中・高リスク群と予想される症例では,骨盤リンパ節郭清,傍大動脈リンパ節郭清,大網切除術が併せて行われる。
骨盤リンパ節郭清や傍大動脈リンパ節郭清は,FIGO(国際産婦人科連合)の手術進行期決定に必要な手技である。手術療法における傍大動脈リンパ節郭清の診断的意義は,(1)正確な手術進行期の決定,(2)追加加療の要否決定,である。
一方で,治療的意義には議論がある。5年生存率や5年無増悪生存の予測因子であるとする報告(文献1)や,比較的大規模な後方視的検討により,中リスク群や高リスク群では傍大動脈リンパ節郭清の追加が予後改善に貢献するという報告(文献2,3)があるが,ランダム化比較試験によるエビデンスは得られていない(文献4)。このため,今後はさらなる症例を集積した後方視的検討や,前方視的ランダム化比較試験の結果が待たれる。

【文献】


1) Mariani A, et al:Gynecol Oncol. 2000;76(3):348-56.
2) Todo Y, et al:Lancet. 2010;375(9721):1165-72.
3) Benedetti Panici P, et al:J Natl Cancer Inst. 2008;100(23):1707-16.
4) ASTEC study group:Lancet. 2009;373(9658):125-36.

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