全国医学部長病院長会議(新井一会長)は12月26日、医学部6年生の診療参加型臨床実習の到達目標を見直し、初期臨床研修の一部を卒前に前倒しすることなどを柱とする卒前・卒後教育の改革案を公表した。
改革案では、卒前・卒後教育の一貫性の強化を提言。卒前の診療参加型臨床実習については、脳・心臓・呼吸器・腹部などの重篤な症状の診断に関わる内容を充実させ、医学部卒業時点で夜間当直や救急医療の現場で一定程度の対応ができる能力を持った医師を育成する。各診療科をローテートする現行の初期臨床研修についても、新専門医制度における専門医研修との一体化を提言。専門医研修と初期臨床研修の修得を並行できる専門医養成プログラムの構築を可能とするよう、日本専門医機構に要望するとしている。
同会議医学教育委員会の山下英俊委員長は、「卒前・卒後教育の一体化によって医師養成期間が約2年短縮され、(2年分の医学部定員総数に当たる)1万6000人の医師を2年早く現場に配置できる」と述べ、医師確保の面での意義を強調。「専門医研修の修了も早くなるので、サブスペシャルティや学位の取得もしやすくなり、若手医師のキャリア選択の幅が広がる」とした。
新井会長は「改革案は数年以内の実現を目指すが、乗り越えるべき壁もある。国家試験制度を抜本的に改革し、知識詰め込み型から臨床実習で修得した技能・経験を評価できるように変えていかなければならない」と述べた。