厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会は13日、産業医への長時間労働者の情報提供を事業者に義務づける規定などを盛り込んだ省令改正案を了承した。同省は6月1日に改正省令を施行する方針。
現行の労働安全衛生法では事業者に対し、時間外労働が月100時間を超えた労働者について、本人申出に基づいて医師による面接指導を行うよう義務づけている。改正省令では過重労働対策を強化する観点から、事業者に対し、毎月1回以上、一定の期日を定めて、時間外労働が月100時間を超えた労働者の氏名と超えた時間に関する情報を産業医に提供することを義務化する。
これに加えて事業者には、各種健康診断の有所見者について就業上の措置に関する意見聴取を行う際、業務に関する情報を医師等に提供することも義務づける。
改正省令ではこのほか、現行では「少なくとも毎月1回」とされている産業医による作業場等の定期巡視(職場巡視)の頻度を、条件付きで変更することを容認。事業者から毎月1回、産業医に対し、①衛生管理者が少なくとも毎週1回行う巡視の結果、②衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとした情報─が提供されており、事業者が同意した場合、巡視の頻度を「少なくとも2月に1回」とすることを可能にする。