日本医療機能評価機構は5月15日に「医療安全情報No.126」を公表した。末梢静脈ラインから輸液中の四肢で採血を行ったため検査値に影響があり、患者に本来行う必要のない治療を指示または実施した事例が報告された。
報告は、2013年1月から17年3月に集計された3例。
そのうち事例1では、看護師Aは乳がん術後の患者の採血を行う際、ベッドの頭元に「右上肢での採血・血圧測定は禁止」と表示があるのを見て、末梢静脈ラインから輸液中の左上肢で採血を行った。1時間後、看護師Bは検査部より血糖値が656mg/dLに上昇していると報告を受けた。主治医に報告し、ヒューマリンR 10単位投与の指示を受け、準備して患者の病室に行った。患者にインスリンを投与することを説明すると、患者から「なぜ血糖が高くなるのか」と質問があり、輸液中の左上肢から採血したことに気付いた。
事例2では、夜勤看護師Aは採血を行う際、PICCカテーテルを留置している左上肢を避け、末梢静脈ラインから輸液中の右上肢で採血を行った。その後、検査部からナトリウム110mEq/L、カリウム7.8mEq/Lのパニック値であると連絡があり、医師から再検の指示を受けた日勤看護師Bは、再び右上肢から採血を行った。再検の結果もパニック値であったため、医師はカルチコールを投与し、GI(グルコース・インスリン)療法を行った。その後、医師は採血後に貼るパッド付き絆創膏が右上肢に貼付されているのを見て、輸液中の右上肢から採血したことに気付いた。看護師A、Bは輸液中の四肢で採血すると検査結果に影響を及ぼす可能性があることを知らなかった。