医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に指定されている日本医療安全調査機構(高久史麿理事長)は8月、急性肺血栓塞栓症に係る医療事故の再発防止策を公表した。「リスクの把握と疾患の認識」など6つの提言(表)が示されている。
「ガイドラインとは区別すべき」
分析対象は2015年10月の制度開始から17年3月までの1年6カ月の間に院内調査が終了し、支援センターに報告された院内調査結果報告書330事例のうち、8事例。同機構は再発防止策について、「死亡に至ることを回避する」という視点から分析したものと位置づけ、政府や学術団体から発表されるガイドラインとは区別した上での活用を求めている。
再発防止策は急性肺血栓塞栓症について、「症状が特異的でないため、発見、早期診断が難しい」と指摘。しかし、早期診断や適切な治療を行うことで死亡率が大きく改善することを踏まえ、提言として「リスクの把握と疾患の認識」「予防」「早期発見・早期診断」「初期治療」「院内体制の整備」という項目を盛り込んだ。
リスクの把握では、8事例における各領域の危険因子は、2日以上の長期臥床が7例、BMI25以上の肥満が7例、各種手術が5例、向精神薬などの薬物服用が3例に認められたと分析。リスクの把握が症状出現時に急性肺血栓塞栓症を疑い、診断の手がかりとなると指摘し、それぞれの手術や疾患のリスクによる分類を「各領域の静脈血栓症のリスクの階層化」として表示した。
今後、同機構は今秋をメドに「アナフィラキシー」、来年3月をメドに「気切後管理」の事故再発防止策をまとめる予定。