群馬大病院などで肝がんや膵がんの腹腔鏡下手術による相次ぐ死亡が発覚して3年。がん治療に内視鏡手術はどこまで有用、安全なのか。1992年に本邦初の結腸がんの腹腔鏡下手術を実施し、10月20日から開催される第55回日本癌治療学会学術集会会長を務める北里大外科主任教授の渡邊昌彦氏に聞いた。
手術の痛みが少なく術後の回復が早い、手術創が小さい、出血量が少ないなど短期的な予後が良好なことです。がん治療の場合、長期予後が開腹手術と変わらなければ、腹腔鏡のほうが優位性は高いことになります。早期胃がん、結腸がんの手術は、腹腔鏡下手術が標準治療です。
私が内視鏡手術の存在を知ったのは米国留学中の1991年。帰国後の92年、慶大で、胆のう摘出術に内視鏡手術を導入していた同僚の大上正裕医師と一緒に日本初の腹腔鏡下手術を行いました。
初めてだったために開腹手術の倍以上時間がかかり、こんな手術やるものじゃないと思いましたが、翌日、その患者さんが開腹手術後とは比べものにならないくらい元気に歩いているのを見て考えが一変しました。内視鏡手術で外科手術が大きく変わると確信した瞬間でした。
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