食道癌の各病期における標準治療は,Ⅰ期が内視鏡あるいは外科切除,Ⅱ,Ⅲ期(T4を除く)が術前化学療法+外科切除,T4では根治的化学放射線療法である
化学療法の効果が良好な症例は,化学放射線療法も効果が期待できるとされ,化学療法による症例選択(chemoselection)という戦略も検討されている
今後,化学放射線療法に上乗せ効果が期待される薬剤としては,抗EGFR抗体であるnimotuzumabや免疫チェックポイント阻害薬が挙げられる
ニボルマブは切除不能,標準化学療法不応食道癌に対して効果を認め,化学放射線療法への上乗せが期待される
食道癌の各病期における標準治療は,Ⅰ期が内視鏡あるいは外科切除,Ⅱ,Ⅲ期〔T4(局所高度進行型)を除く〕が術前化学療法+外科切除,T4では根治的化学放射線療法である(表1)。しかし,食道癌に対する外科切除は侵襲が大きく,術後合併症や食道切除によって術後のQOLが低下することが欠点である。1989~98年のJCOG(Japan Clinical Oncology Group)食道がんグループの研究では,18施設で外科切除した6881例のうち,術後1カ月以内の死亡が127例(1.8%),在院死亡が370例(5.4%)と,ほかの外科切除と比較しても依然として高い数値である。
化学放射線療法を行い腫瘍縮小が認められた,切除可能なT3N0〜1M0の胸部食道癌を対象に,化学放射線療法を継続する群と切除施行群を比較したFFCD 9102試験1)において,Spitzer QoL Indexを使用して3カ月おきに2年間QOL調査を行った結果では,生存期間に差は認めず,切除群においては特に最初の3カ月でQOLが低下することが示された。
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