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(2)切除不能肝転移に対するconversion chemotherapy戦略での分子標的薬 [特集:大腸癌における分子標的薬の課題]

No.4796 (2016年03月26日発行) P.22

植竹宏之 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科総合外科学分野教授)

石川敏昭 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科総合外科学分野講師)

石黒めぐみ (東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学講座准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 切除不能大腸癌に対する分子標的薬併用化学療法は,高い腫瘍縮小効果,予後延長効果が得られる。肝転移に対しても分子標的薬併用により,conversion率が上がると考えられる

    conversion率は30~40%であるので,化学療法はconversionをめざすだけではなくファーストライン治療として適切なレジメンであることが望ましい

    今後は,微小転移コントロールに優れるベバシズマブと腫瘍縮小効果が大きい抗EGFR抗体薬を,症例ごとに使いわけて投与することが重要になると思われる

    1. 近年注目されるconversion chemotherapy

    近年,新規薬剤や多剤併用療法の開発,支持療法の進歩によって大腸癌化学療法は長足の発展を遂げ,奏効率の上昇と生存期間の延長が得られている。さらに近年では,化学療法により切除可能となった病変に対する肝切除術(conversion chemotherapy)が注目を集めている。大腸癌肝転移は術後再発の頻度が高いため,生存期間延長をめざして化学療法に期待されることは,単にconversionだけではなくCTなどの画像診断で指摘されない微小転移巣の制御と考えられる(図1)1)。本稿では,大腸癌肝転移症例の予後を延長する目的でのconversion chemotherapyについて概説する。

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