子宮頸癌Ⅰ,Ⅱ期の標準治療では(準)広汎子宮全摘術が行われている。この手術には骨盤リンパ節郭清も含まれるが,転移の頻度は15~30%程度である。術後合併症としてリンパ浮腫があり,QOLを著しく損ねることも少なくないため,郭清を省略できる症例の抽出ができるとよい。
センチネルリンパ節(SLN)とは,原発巣からがん細胞が最初にたどり着くリンパ節である。そのため,SLNに転移を認めなければリンパ節郭清を省略するセンチネルノードナビゲーションサージェリー(SNNS)が期待される。
わが国では乳癌およびメラノーマでSLN生検が保険収載され,SNNSが行われている。子宮頸癌ではSLN生検が臨床研究として行われているが,SNNSまで行っている施設はきわめて少ない。SLN生検で重要となるのはトレーサーの種類と転移の診断である。トレーサーはパテントブルーなどの色素,放射線同位元素の99mTc製剤,蛍光法のICG,の3つが主であるが,感度と陰性的中度が同等の99mTc製剤とICGが有望である。前者はRI施設を必要とすること,後者は二次リンパ節も同定されやすいことが欠点である。
検出したSLNにおける転移の診断は,微小転移検出のための2mmスライスでの迅速病理診断や,リンパ節を可溶化し標的のmRNAを増幅することで転移の有無を判定するOSNA(one-step nucleic acid amplification)法があるが,どの方法がよいかは今後の課題である。また,SNNSによる長期予後はまだ不明であり,今後の報告が待たれる。
【解説】
河野光一郎 久留米大学産婦人科講師