【質問者】
小原勝敏 福島県立医科大学消化器内視鏡先端医療支援講座教授
表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍の疾患頻度は低く,その内視鏡診断や治療戦略はいまだに確立されていません。しかし,内視鏡切除の適応は他臓器と同様にリンパ節転移を有さない高異型度腺腫~粘膜内癌が適応と考えられており1),侵襲度の高い外科切除〔膵頭十二指腸合併切除(pancreaticoduodenectomy:PD)〕を回避できる可能性がある病変に対し,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)や内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)による診断的切除を行う意義は非常に大きいものと思われます。
治療適応の判断には,術前診断が重要ですが,十二指腸生検は正診率が低い2)ばかりか線維化によって治療困難の要因となるため,不要な生検は極力避け,治療対象病変すなわち高異型度腺腫~腺癌を白色光内視鏡観察やNBI拡大観察によって見きわめることが重要です。
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