子宮体癌では,子宮全摘出術+両側付属器摘出術+骨盤・傍大動脈リンパ節郭清(生検)が基本術式となってきた。本術式では,子宮体癌の進行度,筋層浸潤の程度,組織型により程度の差はあるものの,低リスク症例では骨盤リンパ節郭清まで,早期子宮体癌であっても類内膜腺癌G3や漿液性腺癌,明細胞腺癌,がん肉腫などの特殊型や筋層浸潤1/2以上のような中~高リスク症例では,傍大動脈リンパ節郭清まで施行するため,手術切開創が臍部付近までから傍大動脈リンパ節郭清時の剣状突起下までの約50cmにも及ぶ切開が必要であった(図1)。手術切開創が大きくなることにより,手術侵襲が大きくなり,術中出血量の増大や術後合併症としての癒着による腸閉塞が10~50%の割合で合併するとの報告もあり,大きな問題となっていた1)。
一方,子宮頸癌に対する広汎子宮全摘出術においても,わが国においては岡林術式以来,開腹により大きく後腹膜腔を展開して行う術式を取り入れてきた。その後,広汎子宮全摘出術による骨盤神経叢の障害による排尿障害を軽減するために,多くの先駆者により神経温存術式が開発され,排尿障害を軽減するための基靱帯処理から膀胱子宮靱帯後層処理の方法について工夫が図られてきた。