重度脳性麻痺発症の原因分析を行う産科医療補償制度を運営する日本医療機能評価機構はこのほど「第8回再発防止に関する報告書」を公表した。これは、制度がスタートした2009年から17年末までに公表した原因分析報告書1606件を分析対象として取りまとめたもの。
8回目の発行となる今回は「遷延分娩」「胎児心拍数陣痛図の判読」を分析テーマに設定し、複数の事例分析から見えてきた知見による再発防止策を提言した(下掲)。
遷延分娩については原因分析報告書のうち、単胎で産科婦人科用語集・用語解説集の遷延分娩、分娩停止の定義に該当し、かつ経腟分娩に至った事例104件を分析対象とした。このうち胎児心拍数異常が認められた事例は103件。胎児心拍数異常出現から児娩出までの時間は3時間未満30件、3時間以上6時間未満28件、6時間以上35件で、時間が長いほど生後1分または5分のアプガースコア0〜3点の重症新生児仮死の事例の割合は増加し、臍帯動脈血ガス分析pHの値についても、正常である7.2以上の事例の割合は減少傾向がみられた。
胎児心拍数陣痛図の判読については、原因分析報告書の中で評価が行われた事例は86件だった。最も多かったのは遅発一過性徐脈の鑑別ができていない事例。次いで診療録に波形パターンの記載がない事例だった。