はやし ひろゆき:1986年自治医科大学卒。越前町国保町立織田病院外科勤務後、トロント大学附属病院救急部で臨床研修。福井県立病院救命救急センター科長などを経て、2011年より現職。著書に『あなたも名医!もう困らない救急・当直Ver.3 当直をスイスイ乗り切る虎の巻』など。
自分も診てもらいたいような医師を育てるにはどうしたらよいのか。
ER救急医・総合診療医として若手の教育に力を入れる福井大学医学部救急科・総合診療部教授の林寛之氏に、研修医教育のコツを聞いた。
初期研修の一番の目的は、将来、目の前の患者さんが困らないことですから、まずはいろいろな科の知識を身につけることが大切です。
当たり前の病気を診られない臓器別専門医が多いと患者さんが不利益を被るので、土台となる基礎固めをするのが初期研修ですよね。この土台をないがしろにすると、たらい回しや救える命が救えないということが起こります。
簡単に言えば、飛行機の中で「ドクターはいますか」と言われた時に、手を挙げられるかどうかです。飛行機の中で治療はできないとしても、患者さんの状態を評価できるのは、臨床の基本的な能力です。そのためには、将来どの科に進むとしても、よくある致死的な病気をある程度診られるように救急で勉強する必要があります。