積極的な接種勧奨の中止が続く子宮頸がんワクチンをテーマに日本産婦人科医会が8日、記者懇談会を開き、積極的勧奨の再開の必要性を指摘。医師でジャーナリストの村中璃子氏は、英国のMMRワクチン騒動を例にワクチン報道のあり方について講演した。
子宮頸がん(HPV)ワクチン(用語解説)を巡っては昨年12月、厚生労働省の「疫学研究班」(主任研究者=祖父江友孝阪大教授)が、接種歴のない者の中にもHPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈する者が一定数存在することを報告。これを受け、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は接種勧奨の早期再開を求める声明を発表した。一方で、HPVワクチンの薬害を訴える集団訴訟が昨年7月、全国4地裁で提起されている。
8日の記者懇談会では、鈴木光明常務理事が海外の最新文献を紹介。ワクチン接種により高度子宮頸部病変やHPV感染率が有意に減少していることや、非接種者の感染率も低下し、集団免疫を獲得したことが示唆されているとした。また、世界保健機関(WHO)が2015年12月に「日本では若い女性が本来予防しうるHPV関連のがんのリスクにさらされたまま」と警告したことを紹介。その上で、HPVワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を科学的に証明するエビデンスは確立されていないことを指摘し、「医会としては積極的勧奨を早期に再開することを強く要望する」と改めて主張した。
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